2007年 10月 21日
エテ公ハンター荒稼ぎ |
副市長ベランダから落下
【10月21日=TIMES OF INDIA】 New Delhi:デリーの猿害がいかに深刻か。土曜日、S.S.Bajwa副市長が猿からの攻撃で自宅のベランダから落下して頭部に重傷を負ったことで、この問題の深刻さが改めて浮き彫りとなった。
事故の目撃者こそいないものの、このBJP議員の家族は同氏が東デリーのAnand Viharにある自宅の2階ベランダで猿から攻撃を受け、それを逃がれようとしたために落下したと主張している。
Bajwa副市長(52)は市内のアポロ病院に搬送された。同院によると、頭部に複数箇所傷があり、危篤状態だという。
=>5面、サルの脅威
【評】
この記事(一面掲載)だけじゃあ、副市長、かわいそうだけど面白くない。ってなわけで、直接事故には関係ないけど、数倍面白い5面のサイド記事をどうぞ。
通訳なくても問題ないね
「いい仕事」してます 南インドのモンキーハンター
20日で350匹捕獲
【TIMES OF INDIA】 New Delhi:彼らははるばる南の果てから、猿捕獲のため首都にやってきた。言葉がまったく通じないー彼らはヒンディー語も英語も話せないーにもかかわらず、モンキーハンターは地元の同業他者よりも圧倒的に「いい仕事」をしているのだ。
タミルナドゥ州からやってきた2人のモンキーハンター、R.RamanathanとGajendranはここデリーでコミュニケーションの問題に直面するはずだった。ところが、そんなことに時間を労することなく、デリー市当局との契約を交わした10月1日以来、すでに捕獲した猿は350匹にのぼる。
デリー市獣医局によると、彼らの仕事っぷりはこれまで同市が雇ってきたモンキーハンター3人とは比べものにならないほど素晴らしいという。捕獲した猿の数によって支払われる出来高制の報酬が、タミルナドゥのハンターたちの仕事の質を上げているのだろう、と分析している。
同市は今年初め、全市的な問題となった猿被害解決のために全インドから捕獲の専門家を募集、しかし応募はなかったという。同局は9月になってようやく市内12区において3人の捕獲者を雇い始めた。
獣医局本部幹部のV.K.Singh氏によれば「RamanathanとGajendranの2人は、我々が猿捕獲のプロを探しているということを知り、10月にデリーにやってきた。彼らは最大数の猿が確認されているCivil Lines地区で捕獲を始め、本当に素晴らしい仕事を続けている。2人はヒンディー語も英語も話せないから、言葉の問題を解決するために通訳を個別に雇っている」という。同市当局で4月以降に捕獲した猿は計約1200頭になるという。
通訳のJairaman氏によると、Ramanathan、Gajendran両氏が彼を雇ったのは最近のことで、「彼らが猿を捕まえに行く場合はいずれも同行して、現地の人たちとの交渉が必要なときは通訳をしています。一ヶ月契約で私の日給は150ルピーです」という。デリー市当局はモンキーハンターたちに猿一匹あたり450ルピーを支払うことになっている。
Jairaman氏は「Ramanathanさんたち2人は5年前からこの仕事を始め、彼らが必要とされれば全国どこにだって出かけるそうです。ことばの障害はありますが、デリーでの生活を楽しんでいるようですよ」と付け加えた。2人はデリー市当局から提供されたModel Townに住居に寝泊まりしている。
最近加わったこの2人をのぞいたモンキーハンター、Yusuf、Nandlal、Akbarの3氏もまた、デリー市当局の求めに応じて猿の捕獲を続けている。各人市内3地区ずつを受け持ち、各地区でそれぞれ10日ずつ活動。Najafgarh地区では獣医局のS.K.Ranga医師が個別に地区専従の捕獲専門者を雇っている。
一方で、市当局もまた住民からの個別の要請に従って猿の捕獲に取り組んでいるところ。2007年3月14日には、デリー高等裁判所が市内すべての野生猿を3ヶ月以内にAsola自然保護区に移すよう要請。すでにその期限はすぎているため、市側は一年間の期間延長を求めているが、認められていない。
「3ヶ月で猿害からデリー解放」「高裁指示」というニュースを紹介した3月15日の日記「猿対策、脱猿知恵で!」の続報といえば続報。
けっきょく、高裁の指示を受けてもまだ速やかな行動を起こすことができなかったデリー市当局、そのつけは「副市長が猿に襲われる」という何とも皮肉な事件につながってしまいました。
せめて3月の段階でこの「さすらいモンキーハンター」たちを呼び寄せていたなら、5000匹(最低見込み数)といわれる市内の猿もだいぶ減っていたんだろうけど…
ところで、副市長さんは翌日亡くなってしまったそうです。ご冥福をお祈りいたしますが、はたして「猿の攻撃を受けて転落した」というのは家族の憶測情報でしかないわけで、もう少し記事の書き方に注意を払った方がいいような気もします。
事故じゃなく(人間による)他殺の可能性だってゼロじゃないわけだし。(追加:同氏はベランダにいた猿を追い払おうとして落下したということ)
あと、知りたいことといえば、20日で350匹、一日あたり17,5匹も捕まえるというこの2人ずれの捕獲テクニック。いったいどうやればこれだけの数を捕獲することができるのか。
単純計算で
350匹×Rs.450/匹=Rs.157500(約47万円)
このペースがもうちょい続けば月当たり各人の報酬は
157500×3/2÷2=Rs.118125(約35万4000円)
これだけの大金、そう簡単に稼げるもんじゃないから、聞いたのに「企業秘密だから」と教えてくれなかったのか、それとも「たんに言葉が通じないからきけなかった」からなのか。
時間があれば彼らのハンティングに密着するのも面白そうだけど、副市長の転落事故を受けての付け焼き刃で仕入れた情報による、通訳氏だけとの電話取材のにおいがぷんぷん。
さすがに副市長の命を奪ったともなると、各方面からのプレッシャーも「本物」になるだろうし、デリー市当局も本腰を入れざるを得ないはず。
さらなる賞金アップ、そして全インドから我こそはと賞金稼ぎの腕利きハンターたちが集まり始めるともなれば、ずばりお猿さんにとっちゃ本格的に冬の訪れになりそうですな。
この件に限らず、デリー私営路線バス「ブルーライン」が今年に入ってすでに市民98人の命を奪っているという殺人バス問題もそうだし、インドにおける行政の無策、腰の重さは、日頃ならば「ノープロブレム」と笑って済ませられても、時にこうした予想だにしない結末を引き起こすという典型的な例かも。
ぜひ問題の背景や市民の関心をいっそう掘り起こすような続報記事を期待したいものです。★★★★☆
by itoyamamakoto
| 2007-10-21 18:03
| これは面白ニュース!?