2007年 08月 18日
民主主義の当然の結末 |
Jawaharlal Nehru University Foreign Studens Association(JNU留学生団体)の
President(会長)選挙が18日夜、投開票され、ネパール人候補Pramod Jaiswal氏が51票を獲得し初当選した。総投票数は91票(同選管発表)。
ってなわけで、選挙戦は終わり。
いや、戦という戦にもなりえないような得票率56%の圧勝劇。
得票数は、ネパール人:韓国人:ジンバブエ人=51:21:19
少なくともここ数年間はヨーロッパ勢力とアフリカ勢力が交互に政権を奪い合ってきたJNU学生会において、初めてか久方ぶりに南アジア出身のプレジデントが誕生したってことですな。
18日午後8時から始まったFSAの会議は、まず前政権から会計報告。続いてすぐに立候補受付、投票という流れになるのか、と思ってたのに、こっから長々と一部参加者による前政権への批判が始まっちゃったのね。
「会計が曖昧、無駄遣いが多い」
「集まってやってるのはパーティばかり」
「広報体制が整っていない」
「会のイベントがぜんぜん留学生に伝わっていない」
などなど。
いってることはごもっとも。同感するところも多数あり。
しかし、ここは新会長を選び出す場ではないのか。几帳面に時間を守ってこの場にわれらが現れてからすでに1時間以上がすぎてるではないかい。はやく選挙を始めようよ。
と不満は募るばかり。
でも、今思えばこの遅延工作も、動きの襲い南アジア勢の集まりを促すための「仕組まれた動議」だったのかもしれず。
時が経つに連れ、うじゃうじゃと人が増えていきますFSAオフィス。しかも後から数を増す人たちに限って
「こいつらインド人じゃないの」
といった見た目じゃ区別つかない南アジア勢が大半。
つまりイエロー・モンキーズとブラック・アフリカンとサウス・アジアンズという「肌色の勢力図」でみた限りにおいてもすでにネパール候補の優位は揺るぎなし。
唯一の希望の光といえた20人近い欧米勢力も、
「FSA専用のカフェテリアの設置」
「外国人専用奨学金の設置」
「留学生への寮の部屋の提供」
「大学側に留学生専属の事務員を採用させる」
「ヤムナ寮(外国人の多い女子寮)のメニュー改善」
「週2回のヒンディー語クラス開講」
といった魅力的なAgenda(検討課題、交渉議題)を打ち上げたネパール人候補の虜になっちゃってるみたい。
欧米人学生ってのは聴講生身分での短期留学が多く、JNUにはこの夏に来たばかりの人たちが大半。
学生側から大学への要請、交渉がどれだけ手間がかかり実現困難な絵空事か、という実体験からの知識が備わっておりません。
インド入りしてこのかた彼ら彼女らが不便に感じたであろうことを
「うまくかゆいところまで手を届けましたぜ」
っぽいお題目を勢揃いさせただけで効果はてきめん。に加えて、ネパール候補のAgendaは「public pledge(公約)」とは違うわけだから、演説の場で
そんなみなさんの思いがあること、私はいつも念頭に入れますぜ
ってアピールするだけで十分。一年後に公約実現度を市民団体に調べあげられることもないから、選挙対策その場をしのぎきればそれで御の字。
こんな感じで地縁・結縁つながりの票固め、さらには甘言を駆使した浮動票の獲得、その両面で他の候補2人を圧倒したことが、PRAMOD氏圧勝の背景といえるでしょう。
それに対して、日本人勢力が公に「推薦」を表明していた韓国人候補ガン氏はいちおう得票数では次点につけたものの、投票した日本人4人に動員された韓国勢10数人以外からは全く票を得らず、惨敗でした。
そりゃあ、だめだよ。
投票直前の演説では公約っぽいことがぜんぜん曖昧だし、言葉もしどろもどろ。準備不足は明らか。
さらに投票の寸前まで電話で知り合い呼び出していたネパール人とは対照的に、階下の食道で食べ物を注文している始末。ぎりのぎりまで票を伸ばしてやろうなんていう気構えが全くなし。
もちろん、数あわせですでに敗戦を悟っていたのかもしれないけど、こんな大将の姿を見せられていれば陣営の空気もよどみっぱなし。典型的負け選挙でしたな。
ん?
何か忘れてない?
そうそう、我らが日本代表として、ガン陣営のバイス・プレジデント(副会長)職に候補予定だったTaka氏のこと。忘れちゃあいませんよ。
副会長には女性を立てて独自性を出そうという陣営戦略の一貫として、最終的にはバイスではなくGeneral Secretary(書記長)役に立候補。
大将候補とは違い、いちおうちゃんと筋の通った演説文も用意して書記長選に備えてたものの、彼以外に他陣営からの候補はあらわれず。
ってことで、無投票で書記長に就任できたんだけど、時すでに大将の落選判明後。
「ガン候補のサポート役になろうと立候補をしたわけで、別候補が当選した以上、私がその彼とともに働くことは遠慮したい」
ということで書記長就任を辞退。
権力逃走渦巻く中国や北朝鮮あたりじゃあ考えられないことです(笑)。
とにかく、総書記ポストもネパール閥にあてがわれてることとなり、まさに最大多数の最大幸福、FSAの幹部4ポストのうち3職はネパール人就任が決定しました、とさ。
試験も受けずに入学できる一般海外留学生と違い、彼らネパール人学生は純粋に入学試験を経てJNUにやってきた母国の超エリート集団ということだし、自国でも新しい民主主義を始めようとしてるネパール人たちが、この民族、地域、宗教の利害絡み合うFSAでどのような政権運営を見せてくれるのか、楽しみにいたしましょう。
by itoyamamakoto
| 2007-08-18 17:45
| エンジョイ!学生生活