2007年 01月 24日
わたしの目が黒いうち |
インド2050年には米国追い抜く
中国に続く世界第2位の経済大国に
ゴールドマンサックス
【1月24日=TIMES OF INDIA】 Mumbai:生産分野の成長を背景にしたインドの経済成長率は2020年まで年率8%を持続、さらに2050年にはアメリカを追い抜いて世界第二位の経済大国になる。2003年10月に「BRICsリポート」として知られる経済観測を発表したゴールドマン・サックス証券はこのほど、こうした新しい経済観測を発表した。
BRICsレポートは、インドの国内総生産(GDP)が2032年までの30年間に日本を追い抜いて中国、アメリカに次ぐ世界第3位になると予測。今回の報告書では世界的な経済競争においてインドは3位から2位にランクアップするというさらに一歩踏み込んだ内容が示された。
この月曜日(22日)に明らかになったゴールドマン・サックス社分析部門による世界経済分析書では、インドの2003年以降の経済成長は単なる景気循環サイクルの中現象にとどまらず、社会の構造的変化のもたらす成長であると指摘。生産能力の向上が成長全体に貢献する割合は50%近くに達しており、この趨勢はさらに今後数年は続くとの見方だ。
「我々の予測ではインドの潜在的もしくは持続的な経済成長率は2020年まで8%台が継続。前回の我々が示した『RICs見通し』より世界経済の成長に対するインドの貢献度は規模的にも速度的にも上回る勢いがある」と同部門は説明する。
この世界最大の投資機関(前会長ヘンリー・ポールソン氏はブッシュ政権の前財務長官)が投じる自信あふれた一票は、インドが核保有国としての政治的存在感、世界のサービス産業の屋台骨としての経済的影響力をそれぞれ高めようとする今の時期と歩調を合わせるようにして行われた。
報告書では、製造分野における生産能力の向上が高い成長率の主要な背景になっていると分析。10年に及んで積み重ねられた経済、構造改革によって、一般企業を中心に競争が激しさをまし、効率性が改善されたことが好調な景気の牽引役になっている、と指摘する。
「この背景には商業分野の透明性促進、情報産業分野への投資拡大、財政構造の高度化などがあり、こうした分野にはさらに発展の余地が残っている」と述べている。
【評】
これまでまともに書いたことなかったはずのBRICsもの。
インド認知度が日本じゃまだまだだってことくらい、すでに肌身にしみ入るくらい感じておりますが、さすがにBRICsともなれば「流行語大賞」の幕下付け出し(笑)くらいには入っているんじゃないでしょうか。違う?
いちおう自分のために要点まとめれば、この世界的BRICsブームの発端は記事にもあるように米国の証券会社、ゴールドマン・サックス社が投資家向けに発表した「BRICsとともに夢見る:2050年への道(Dreaming with BRICs: The Path to 2050)」というレポート。
今後長期間にわたって持続的な経済発展が見込まれる(=投資対象として望ましい)ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字を取ったBRICs。
4カ国の国力を合わせると、世界人口の4割以上を占めるなど市場性に富む人口大国であり、石炭や鉄鉱石生産でこれまた世界の生産量の半数以上資源大国であることなどから、「現在の西側先進諸国を上回る潜在力を秘めている」なんて大風呂敷広げちゃったものだから、世界中のみんながそんな気になっている。特に「ご指名」をうけた当事者たちの盛り上がり具合と言ったら…
もちろん「世界第2位の経済大国」にあぐらをかいているわたしたち日本人が気になる観測は、国内総生産額において、
2015年 : 中国が日本を追い抜く日
2032年 : インドが日本を追い抜く日
2039年 : 中国がアメリカを追い抜く日
がやって来るらしいってこと。
そしてこのタイムテーブルに今回、
2050年 : インドがアメリカを追い抜く日
というのが加えられたわけですな。
さあ、わたしの目の黒いうち、この年表がどこまで事実として歴史に刻まれるもんなんでしょうか。う~ん。2050年、順調に齢を重ねたとしたら77歳。喜寿じゃございませんか。こりゃあ、めでたい、めでたい、と。
その他に欄外に示されていた指標(☆RISING POWER)としては、
・経済の構造的成長によって2003年以降、経済成長率は過去20年間の平均5~6%を上回る8%台が見込まれている
・2007年から2020年まで、インドの国民一人当たり国内総生産(US$換算)は4倍(前回のBRICs報告書よりもさらに33%増加)に。車の購入数は5倍、原油の消費量は3倍に
・2020年には新たに一億人が労働力に
・今後の成長が見込まれる世界30都市のうちインドの都市が10都市を占め、都市化の目撃者となる。2020年までに農村部の住人約1億4000万人が都市に流れ込み、2050年にはその数が7億人に
など。
もちろん中国、インド両国とも「シャレになんない扶養家族」をかかえているわけだから、こうしたGDP世界1とか世界2とかの数字が「国民一人当たり」ではないことは自明の理。でもやはりかなりのインパクトはあるんでしょうな。
中国とインドに首を突っ込んでしまったわたしとしては、「棺桶に入りたくても入れないほど現世に未練が残るように面白い世界」であってほしいと思うのですが…
ところでTIMES OF INDIA紙では今年、「INDIA POISED」キャンペーンなるものを展開中。
「準備は整った。さあ飛び立て」
みたいな意味でしょうか。
インドの明るい未来について一緒に考えよう、という趣旨の企画で、今回のような華々しいニュース、インド人のプライドをくすぐるようなニュースを意識的に取り上げては、記事の端っこに「INDIA POISED」のロゴ。これを見ない日はありません(だからこそのキャンペーンなんだけど)。
根拠のない自信過剰はよくありませんが、だいぶん強気なあおり具合がインド人の愛国意識にどう影響するのか。興味津々な昨今であります。とにかく、ある意味、そんなインド強気モードの発端になったとも言えるBRICsネタ。一面トップの扱いは現在のTOIならば妥当でしょう。★★★☆☆
by itoyamamakoto
| 2007-01-24 14:45
| これは面白ニュース!?