2007年 01月 13日
東の横綱級の世界遺産 |
この旅最後の滞在地(になるであろう)プリー、自分の中では完全エピローグモード。何となくやる気にならない。どうも受け身になっていけない。
もう一度自分を奮い立たせてみたい。
まるでED治療薬の宣伝コピーみたいですが、とにかく、酒飲み読書(Love & Life文庫)に浸る自分をちと反省。「旅が終わりに近いからこそ、あとから後悔するようなことを残しちゃダメだ」と奮い立ったわけです。
プリーの町外れにあるバス停まで徒歩30分。そっからミニバスに揺られて約1時間、海岸線沿いに約35キロ北上したコナラクに到着したのでした。
さあて、「Sun Temple(太陽寺院)」とやら、拝むとでもしましょうか。
ちょっぴり歴史のお勉強。
11世紀からこのオリッサを治めるようになった後期東ガンガ朝は、周辺のイスラム勢力などとの抗争を続けながらも長期間国の独立を守り抜き、その間文化的にも成熟を迎え、オリッサ様式と呼ばれる壮大なヒンドゥー寺院群を各地に完成させたことでも有名。
その寺院の代表格こそこのコナラクにある、じゃじゃ〜ん世界遺産「太陽寺院」なのです。
ふ〜む
寺院単体で世界遺産指定、となればその価値は計り知れず
だって世界最大の楽山大仏だって峨眉山とセット扱い。九寨溝だって黄龍とセット扱い。ポタラ宮だって大昭寺などと。アジャンタだってエローラと。
じゃあ、ひょっとしてタージマハル、万里の長城級のユネスコ的位置づけということになるのか…
それとも
単に周りに抱き合わせられる異母兄弟姉妹がいなかっただけの一人っ子政策なのか…
そんな由無し言をぐだぐだ考えてりゃ、モノホンにがつんとカウンターパンチを食らったわけです。
「ごちゃごちゃ言わんで、まずはちゃんと見てみんかいっ!」
という感じ。
建立は東ガンガ朝でも後期の末期に近い13世紀半ばごろ。つまりは線香花火の最後の輝き、芸術の爛熟さ加減がいかんなく発揮されているわけですわ。
太陽神「スーリヤ」を乗せる七頭引きの馬車を模したというのが基本設計で、ともあれ圧倒されるのはまずそのばかでかさ。
本殿の高さは設計上60〜70mあったとされるものの、現在は土台を残すのみで、手前にほぼ完全な形である前殿(高さ38m)の方が目立っていたりする。
また、馬車がモチーフなだけあって、寺院の基礎部分、左右の壁に12個ずつ残る車輪は、直径3m。またしても大きさにまず圧倒。さらにこれまた細かく生き生きとした彫刻が施され、その保存状態もかなりのもの。2度おいしい。
もちろん前殿より更に入り口近くにある「舞堂」と呼ばれる建物も天井が落ちているだけで、周囲や柱に彫り込まれた彫刻は見事。
今にでも動き出しそうなほど躍動感あるスキップ姿の女性、睦まじく抱き合う男女の像、曼荼羅のようにバランスよく配置されたヒンドゥーの神々たちなど、意味が分からなくても立ち止まって見入ってしまうような芸術品ばかり。
あと表情も豊かなんですよ。他の寺院で見る彫刻に比べて風化、劣化の度合いが低く彫刻が細部までちゃんと残っているからかもしれないけど。とにかく、箱根彫刻の森美術館もびっくりするくらいの屋外美術館なんですよ、ここは(当たり前)。
こんないいものを見せられた日に、また別のところを観光したり、寺院を参拝しちゃったらその感動に不純物がまぎれてしまうだけのもの。
こんな場合はそうそうに店じまいをするに限りますな。
プリーに戻って浜に出て、まわりにう○このないこと確認したら、チャイでもちびりながらゆっくりと夕日を眺めるのが一番です。
by itoyamamakoto
| 2007-01-13 14:59
| またまた旅に出ました