2006年 12月 17日
印度仏教の精緻Ajanta |
まあ、昨日はいろいろと文句をたれてしまったんだけど、あれはようするにあれ、そう、ジャブですよ。軽いジャブ。
ここまでデカン高原しといて、アジャンタ見ずに何語ろうともそんなのは画竜点睛というもの。やはり「世界遺産」のブランドバリュー、全ての鬱憤や愚痴を吹っ飛ばすくらい爆A級を期待しましょうよ…
で、昨日の「itoyamaさんですか?」に続けとばかり、ボーテンさん(31歳男、福岡出身)本日のひと言決めゼリフ集。
「韓国料理にやられました。アジャンタいっしょに行けません」
「…ごめんなさい」
でした。
お大切に、合掌。
アジャンタまでの道のりはバスで3時間。
どってことない時間というほど短い訳でもなく、一人だし何してすごそうかなぁ、なんて考えてると、また別の日本人が登場してくるあたり、さすがアウランガーバード。グジャラートとは違いすぎる。
グジャラートがカッチ系の民族の宝庫だとしたら、わたしのとなりに偶然座ったのはカシミール風アイシャドウ上下濃い系メークが特徴的な日本人女性フーシャさん(28歳)。
見た目なら元会社の後輩、久保田系。そのメーク通り、北インドのカシミールでこれまで2ヶ月ほど現地人宅に居候、さらに来年1月からデリーで働き始めるため、その前の2週間ほど暖かい南におりてきたという、これまた面白そうな人。
結局本日は観光を終えるまでご一緒したんだけど、今後もデリーで絡むことになるかもしれない人なんで、本日は顔見せ程度。
あっ、そうそう、遺跡を見るペースがわたしとそう変わらなかったんで助かりました。
脇道脱線は軌道修正、やはり「勝負」はアジャンタ。
古代では項羽と劉邦、近世では家康と光成、現代では馬場と猪木などなど、とにかく「英雄並び立たず」とはよく言ったもので、アウランガーバードの町にくるまでは、いせきの「遺」の字も書けなかったようなはなたれ小僧どもまで、アジャンタ、エローラ両石窟観光を終えたとたん、したり顔で
「女神の微笑みに、オレ、泣きました(アジャンタ派)」
「カイラス寺院の気合いに超ヤバいっす(エローラ派)」
の派閥争いを始めるって話だから、わたしも涙涸らすほどに気合いみなぎらせてみるしかない(笑)。
デカン高原を流れるワゴール川がU字に屈曲する谷沿いの壁面にびっしり掘られた約30の石窟群。外国人は参観料250ルピー(約650円)。で、インド人は10ルピー。
でも、そんなことにブーたれながら見学をはじめた外国人たち(貧乏人限定)にグーの音もだせないようにするのが、アジャンタ石窟の得意技みたい。
だって、第一石窟からいきなりのメーンイベンターなのよ。ジャブはなし。
アジャンタで最も美しいとされる壁画(テンペラ)群が四方に残された、何たるゴージャス空間。
オリックスにいたときのイチローが客の関心を全てかっさらって、その時代の主砲(4番バッター)のことを誰も覚えていないのと同じこと。
これまでも歴史の教科書やガイド本、ネット検索などで目にしてきた人物たちと面と向かえる幸せ、まさに旅の醍醐味でありますな。
ただし、このアジャンタ石窟、ちと神経質すぎではないでしょうか。
モノホンさんの手前約2mに張られたロープはちと遠すぎ。かつてはそのだいぶ前まで踏み込めたのであろう、手すりが1、5mほど先に残されてて、どれだけうらやましく思ってもこれが現実。
石窟内の明かりも必要最低限まで押さえられ、デジカメを構えるわたしに突きつけられたのは
1/8、1/4、1/2、1S
などという容赦ない数値(シャッタースピード)ばかり。
さらにわが愛するCaplioGX8は焦点合わせが大の苦手だから、シャッターボタンを何回半押ししても「探しものなんですか♪」「見つけにくいものなんです」で返ってくる。
言い訳オンパレードはもうこれで最後。故意か、偶然か、時々石窟内にフラッシュの光が炸裂するたび、
いや、オレはそこまで堕ちてはいけない
と言い聞かせながらできあがったのがこれら「悪あがきの結晶たち」なもんで、心に銘じてご鑑賞くださいね。
もちろん、約30窟のすべてが「必見レベル」であるはずもなく、ツアー客とかが足を踏み入れているのはその3分の一程度。
さらに時間だけはたらふくな個人客が一応全窟を踏破したにしても、石窟の番号と滞在時間の長さは「反比例の法則」に従うこと間違いなし…
という風になるのが普通の観光地や博物館参観のお決まりパターンなんだろうけど、ここ、アジャンタは何とも憎らしいことをやってくれるからもうたまらん。
中ダルミしかけた16、17窟や、もう精も根も尽き果ててそうな最後の29窟にも「爆A級」を温存した抜群のローテーション。
たとえガイドブックとか見てなくても、理屈抜きで足を止めたくなってしまう豪華絢爛な壁画や彫刻たち。まさにリーグ戦とチャンピオンズリーグ予選を同時期にこなせる銀河系軍団ここにあり、みたいなもんですな。
さあて、約4時間、時に呆気にとられながら過ごした恍惚の時間。
遺跡の余韻に浸りたい人は、もう少し頑張って見晴し台までのぼってまずは遺跡の全景を。そっからさらに約500m歩いたワゴール川の上流もおすすめ。石の上に腰掛け、冷たい水に足をつけてれば歩き回った疲れも吹っ飛ぶのではないでしょうか。
by itoyamamakoto
| 2006-12-17 01:32
| またまた旅に出ました