2005年 06月 03日
ああ奥深きかな老字号 |
金曜午後。語言実践の授業が終われば、週末フリータイムの始まり。
シャワーを浴びて身支度も終了、さっそく山東省への旅行に出発です。
あっ、その表情。
完全にあきれ果てた顔ですね。
また旅行か。
アホかお前は。
少しくらい落ち着いたらどうか、と。
何と思ってもらっても結構。
今回は一人で行くわけじゃありません。
シャンガオ、チャオシエン、ゴンシン、メイマー(全ては仮名)。
同学們4人とのいわゆる「なかよし5人組珍道中」。
彼ら彼女らにとって、北京以外の中国世界はほぼ未知数なだけに、「歩く旅行ガイド」ともいえる頼もしい存在であるわたしは、欠くことができない存在というわけなのです。
恥ずかしがり屋の彼ら彼女らたちのこと。
直接同行を懇願されたわけではありませんが、そういう向こうの意志を十分に酌み取った上で、忙しい時間を割いて参加してあ・げ・ることにしたのです。
あ〜あっ、週末ぐらいはゆっくりさせてくれよなぁ。
参加者に日本人がいなかったら大声で叫んでいるところですよ、ホント。
最初の目的地、曲阜に向かう電車K51は北京駅を22時30分出発。
「せっかくなら乗車前に飯でもどうか」、ということで意見は一致。
さらには、「どうせならうまいもんを食おうじゃない」という方向に発展。
しかして前門にある北京有数の老字号「都一処」に出かけることに。
老字号?
わかりやすく言うと老舗の食堂のことで、北京だとだいたい100年以上の歴史のある店を指すみたい。
「都一処」は、北京ダックの「全聚徳」や「便宜坊」と並び老字号中の老字号とされるシューマイ屋さん。
その昔、清の時代。
大晦日の晩にお忍びでこの店を訪れた当時の皇帝乾隆帝が、その時間帯、北京(都)で営業している店がとにかくそこだけだったという理由で「都一処」という自筆の額を贈ったのが屋号の由来。
そう説明するのはこの店を絶賛するシャンガオ。
絶賛したからには、うまいもん食わせてくれんだろーなぁ。兄ちゃんよぉ。
と若いもんをびびらせて喜ぶのもまた若いもんの自己満足。
わたしはそんな茶目っ気持ちなど過去に置き忘れてきてしまった30代。
求める物はただ一つ。
のど乾いたんで、なんでもいいからビールとそれにあてる食いもんください。
そう目で訴えたら、彼らすんなり分かってくれたみたいです。
「ここの料理フェイチャン(とても)ビールに合いますよ」とうれしいお言葉。
〜しばしのご歓談。〜
テーブル上には焼売のせいろが4つ。
豚肉、海鮮、青菜、それらのミックス。
さらには涼菜も数品。
さあ、運ばれてきて参りました。
これだけあれば、燕3本はいけちゃいましゅよ。
喜びあふれてはしを動かし始めたのもつかの間。
あたりを見渡しあっけにとられる私、そして同学們。
原色のパジャマ姿で来店し、円テーブルのうち30度くらいの面積しか使わないほど二人体を密着させながらいちゃつきあい、唯一注文した粥系の料理をほおばる見た目40代後半と20歳前後の年の差カップル。
店内中に響き渡る大声で四六時中、服務員の姉ちゃんたちに文句を言ってるおやじ。さらに姉ちゃんたちに相手にされないようになると、一応調理服を着ているから店の人には違いないんだろうけれど、こちらも何のために調理場ではなく四六時中食堂の片隅に立っているのか分からない、退職年齢相当のおじいちゃんに向かい、中国語とも思えないような言語でくだを巻き始めるおやじ。
食事中、携帯に電話がかかってきて席を立ったはいいが、携帯ストラップとベルトを結びつけていたひもが「若干」短かかったため、真後ろから見ると体を「くの字」に折り曲げたままの状態で約5分間、店内の各テーブルを巡回するようにして、通話を続ける若いお父さん。
もう結構です。老字号。
何を食べたかを忘れさせるくらい、レベルが高いんですね。
一筋縄ではいかない客が訪れるところ。それが老飯店。
北京を分かった気になっていた「自分が恥ずかしいです」。
これから寝台列車の旅が始まりますが、夢に出てきそうなので、安らかな睡眠にはもう2本ビールが必要になってしまいました。ありがとう。
by itoyamamakoto
| 2005-06-03 02:29
| 食い物、飲み物腹一杯