2005年 07月 25日
福岡一家殺害を考える |
楊被告の死刑執行
王被告は無期確定
福岡・一家殺害
【25日=西日本新聞】
【北京25日井上裕之】福岡市東区の松本真二郎さん=当時(41)=一家四人殺害事件で、中国遼寧省高級人民法院は二十五日までに、中国側で起訴された元私立大生・楊寧被告(25)に対する一審の死刑判決を支持し、同被告の控訴を棄却した。これを受け、同被告の死刑が執行された。同法院が同日、同省瀋陽の日本総領事館に通知してきた。
同事件では、中国側で楊被告と元日本語学校生・王亮被告(23)が逮捕、起訴された。今回の控訴審判決で、一審で無期懲役とされた王被告の刑も確定、中国側での捜査、裁判は終結した。
両被告は二〇〇三年六月、元専門学校生・魏巍被告(25)=一審で死刑判決、福岡高裁に控訴=と共謀し一家四人を殺害した、とされる。今年一月、同省遼陽市の中級人民法院(一審)が楊被告に死刑、王被告に無期懲役を宣告、楊被告一人が控訴していた。
総領事館への通知によると、死刑は今月十二日に執行された。控訴審の審理状況や判決の日時などは明らかにされていない。中国の刑事裁判は二審制。複数犯の事件で一部が控訴した場合、二審で事件全体が再審理される仕組み。このため、一審で無期懲役とされた王被告の刑も今回の判決で正式に確定した。
中国当局は今回の事件を重視、一審段階では審理を公開し、日本人記者の傍聴も認めるなど、異例の対応を取った。ただ、今春以降は一連の反日デモなどで日中摩擦が先鋭化し、対日感情が急速に悪化したことを踏まえ、控訴審では審理状況の公表を見送る慎重姿勢に転じたとみられる。
【評】
17日のブログでは、日本で生活する中国人増加の趨勢は今後まず変わらないし、それに対して積極的にどう対処していくかが重要、という内容を書きました。そうした在住外国人への取り組みを「喫緊なもの」として捕らえるようになったきっかけがこの福岡一家殺害事件。25日、大きな区切りを迎えました。
警察庁発表の資料によると、外国人犯罪における中国人の割合というものは実際飛び抜けていて、2004年には、刑法犯と特別法犯を合わせた来日外国人の総検挙件数(47128人)では36%(16950人)を、総検挙人員数(21842人)では42.4%(9259人)を中国人が占めています。
5年前との比較でも約9.7%増加、検挙人数に至っては73%と激増。ともに2位の国々(トルコ、韓国)の3〜4倍となる数ですから、多くの人にとって「外国人犯罪」といえばまず中国人が連想されるの無理ないことなのかもしれません。
さらに検挙人員の内訳を見ると、単独犯と共犯の比率が約37:63で共犯率が高いこと、特に共犯の中でも4人組以上が約4割となるなど、他に類を見ないこの「グループ犯罪の多さ」が全体の検挙者増にも大きく影響しています。
また犯罪種別では強盗や侵入犯の比率が高く、犯行時の職業は大学生、先週学校生などによるものの犯行が37.2%で有職者(35.4%)を上回っているのも中国人犯罪の特徴です。
わたしは物事を型にはめて見ることは非常に嫌で、窮屈さを感じてしまう人間なんですが、まさに福岡の事件の実行者たちは、手口や被害内容こそ他に類を見ない残虐なものでしたが、彼らの犯罪は統計に見られるような非常に典型的なものだったという見方は否定できません。
もちろん今回の事件では、日中警察当局による捜査協力が実を結び、中国側一審段階では日本側報道陣に裁判傍聴を認めるなど、今後両国をまたにかけた犯罪が起こった場合、捜査から裁判にいたるまで司法手続きのモデルケースとなるような一歩が踏み出されたことは間違いありません。
ただし、二審の判決結果、死刑執行を2週間近く遅れて日本側に伝えてくるなど、あくまで中国側の政治判断が優先、手続きを「ルール化」することの難しさは相変わらずのようですが。★★★☆☆
by itoyamamakoto
| 2005-07-25 22:47
| これは面白ニュース!?