2005年 08月 06日
取材活動は誰のため? |
報道記者台湾へのスパイの疑い
【8月6日=TAIPEI TIMES(台北時報)】
海峡(STRAIT)問題? 中国政府は「Straits Times」の程翔記者が国家の機密情報を入手し、それを台湾の国家安全部局に提供していた件を自白した、と発表した。
◎AP、北京 拘束から4ヶ月。中国政府は前日(5日)、シンガポール紙の記者が台湾に通じるスパイ行為を行っていたために訴追した、と発表した。
国営新華社通信の報道によれば、シンガポール紙ストレイツ・タイムズの中国通信員程翔記者は、莫大な金銭を使って政治上および軍事上の国家機密情報を入手したという疑いについて自供した。
中国生まれで香港籍を持つ程度記者については、中国訪問中の4月22日に拘束されて以降何の情報も表には流れず、家族は彼が何も違法なことはしていない、と否定を続けていた。
新華社によれは、55才の程記者は2000年に台湾の国家安全部局の招きに応じ、「香港と大陸本土における多くのスパイ情報網を確立した」という。
同記者はチェン・ユエンチュンという偽名を使用。新華社は「台湾側への情報提供を目的に、高度に秘匿すべき機密情報も含んた中国の政治や経済、特に軍事面の情報を大量に買収した」と伝える。
新華社は、彼の行動が国家の安全に対して「有害」と記事は指摘する。
北京政府が程記者拘束の理由について言及するのは今回が初めてで、程記者が裁判を受けることになるかは現時点で明らかではない。中国の法律では、スパイ行為の量刑は懲役数十年から死刑までおよぶ。
台北では、大陸の担当部局の呉剣変議長が香港のケーブルテレビの取材に「程記者へのケースは新たな問題の始まりとなるだろう」と語った。
呉議長は、提起者の逮捕が中国政府に攻撃的な他の香港紙の記者たちをおびえさせるために「鳥を殺して猿たちを脅す」というスケープゴート的な政策のだろうと指摘。この動きによって中国政府に批判的だった香港メディアに自制作用が働くことを懸念している、という。
香港のラジオやテレビ局によれば、程記者の妻劉敏儀さんは「北京政府の告発はショックで全く信じられない」と話したとされる。
木曜日には、なお夫の無実を主張していた彼女。香港のあるラジオ局に「私たちは夫が国の利益を損なうような行為を損なうようなことをしていないことを断固として信じる」と述べていた。
劉さんは、程記者が、中国共産党にとっては今も極めて微妙な問題である1989年の天安門事件で、民主化を求める学生らを擁護した超紫陽元国家主席の自伝の原稿を手に入れようとしたとして中国の警察に逮捕された、と話した。
新華社は、程記者が数十万アメリカドルに相当する「数百万香港ドル」を用いてスパイ行為を行ったと報道。中国側捜査当局に対して程記者は「台湾当局のために行っていたスパイ行為のすべてを白状した」としている。
ストレイツ・タイムズの出版元であるシンガポール・プレス・ホールディングズの広報責任者アイレーン・ングーは「中国大使館が程記者逮捕について会社に通知してきた」と説明。
声明の中で「われわれは程記者と連絡を取る何らかの方策を求め、彼のために弁護団を捜しているところで、中国大使館は我々の要求を北京政府に伝えるということだ」と述べている。
アメリカに本部を置くジャーナリスト保護に取り組む団体によれば、中国は昨年までの過去6年間連続して、世界で最も多くの記者を逮捕してきた国だという。
【評】
本当にじっとりいやな汗をかいてしまうニュースです。
程記者をめぐっては数日前、世界中のジャーナリスト数万人が中国政府に対して彼の釈放や情報の公開などを求める署名を集めたという記事を読んだばかり。
まさかそんな行為に中国側がぷっつんしたのではないでしょうが、そう勘ぐられてもあながち嘘とはいえないようなタイミングでの発表になってしまいました。
実はわたしの北京時代のクラスメート(同学)に「ストレイツ・タイムズ」の女性記者がいます。
程記者の拘束時、当然ながら中国内メディアでは何ごともなかったのですが、ネット上では西洋の報道機関はもちろん、日本の各新聞社でさえかなり大々的に扱っていたので、直接程記者と面識があるという彼女にこのニュースについて聞いたことがあります。
「もともと香港の新聞社で働いていて中国内の取材もかなり手腕を発揮した記者だから、かなり前から公安に目を付けられていたみたい」
というような話でした。
当時は超紫陽の独占手記を手に入れたことが、共産党のご機嫌を損ねたから身柄を拘束されたという見方、報道が一般的。まさか「台湾のスパイ」というところまで話が大きくなるとは思いませんでした。
実は元同学の彼女もこの8月から北京で働くことになっているので、まちがいなく色んな影響を受けるでしょう。こちらもかなり心配です。がんばれロボ○○!
「報道の自由を守れ」と主張するのは簡単ですが、果たしてこの逮捕劇の真実がどこにあるのか、それを明らかにすることの方がずっと重要。ジャーナリズムの底力が試されているような気がします★★★★★
by itoyamamakoto
| 2005-08-06 21:21
| これは面白ニュース!?