2006年 01月 06日
センスないのどっち? |
九州国立博物館。
知名度は一体どれくらいなんでしょう。
特に九州以外の人には。
昨年10月に日本4番目となる国立博物館として福岡県太宰府市にオープンしたばかり。わたし的には前の仕事でけっこうな関わりがあったし、「アジア史の視点から九州、日本をみる」というコンセプトにも工作人時代はあまり大っぴらにできなかったんですがシンパでした。今回一時帰国を決めた際、「行きたい場所リスト」ではかなりトップにランクされてたわけです。
なら、もっと早く行けよ
なんですが、いかんせん九州国博は太宰府天満宮のお隣りさん。
これがどういう事かって?
正月三が日で約200万人の参拝客にまみれなきゃといけないってことですよ。
しかもちょうど元日から開館記念特別展第二弾「中国 美の十字路」が始まったというタイミング。
博物館に入るどころか手前数百メートルで動けなくなる恐れだってあるわけ。
「何もあげん混んだとき行かんでちゃ、ねぇ」
平時なら車で30分。
地(じも)ピーらしい余裕ある態度です。
で本日。お昼ご飯を食べてからの余裕の出発。
で入館まで要した時間。
…2時間以上。
雪にやられました。初詣渋滞ならぬ「交通規制渋滞」。
塩に対するナメクジのように雪に対して弱すぎる九州。たかだか積雪数センチでも高速道路は通行止め、片側通行になる一般道路もあったり。わが鳥栖から太宰府までの道は九州交通網の大動脈なわけで、いくらマイコンピューター内の抜け道情報ナビを動員したところで、結果として初詣渋滞と同じ結果になってしまいました。
とくに最後の約2キロ。
九州国博は山を切り開いて作ったんで、積雪は数センチよりももうちょっと手強い状況。ハンドル握りながら「おいおい。ローギア運転なんて『想定外』よ」と思ったもんです。
で、辿り着いた先の「中国 美の十字路(China,Crossroads of Culture)」。
一般1300円、高大学生1000円なので堂々学割入場です。
今回の企画展では、当代一(駄)の世界帝国「唐」ができあがるまでの後漢(二五—二二〇年)から唐(六一八—九〇七年)の間、中原の民と沙漠の民、草原の民、山岳の民たちとの交流を示す仏像やレリーフ、金銀器、ガラス製品など文化財210件(含国宝級133件)を展示。
現代の中国にも通じる「あの国のかたち」が固まるまでのぐらぐらした時代。シルクロード、ステップロード、茶馬古道等々を通じて中華民族と周辺民族が混じり合った当時に思いをはせるには格好のテーマでしょう。わたしのツボにも「ドキュン」。
実際に大同やカシュガル、トルファンなどの博物館でお目にかかったことのある作品との再会がありました。
基本的に大満足なんですが、ちょっぴり難くせるならば、コンセプトで示した「東西、南北文化の交流」をもう少し展示の現場でも説明してもらった方が分かりやすいのではないでしょうか。
せっかく打ち出した「交流の流れ」ですが、現場では単品、単品の説明に止まっているようでした。たとえば他地域で発掘された文化財との類似性を写真で示すとか、展示品にゆかりのある文献なんかを示すとか。
専門家は眉をしかめるかもしれませんが「世の中金」(笑)ですから、当時はいくらくらいで作られ、右から左北から南に移動していく間にいくらくらいで取引され、それが今はいくらくらいで(鑑定団的に)購入できるのか。
とにかく人が生活していたという香り(息吹)が伝わってくるようにしてもらったらわたし的には面白いと思いました。
かんぜん期待はずれだったもの。
絵はがき。
インド式の仏像やガンダーラっぽい彫刻、さらに「向こう」の地中海沿岸モザイク画みたいな織物なども少なからぬ展示されてたわけですが、絵葉書屋(スーベニアショップ)に売ってないのよ。
200数十点の作品から絵はがきとして売り出す10枚程度を選び出すのは難しい作業、もしかしては版権関係の手続きで簡単、難しいもあるのかもしれません。
でもね。
絵はがき収集を履歴書の趣味の欄に書き続けている(一度も面接などでいじってもらったことはなし)わたしですから展示を見てる段階からお気に入りをチェック入れてるわけですよ。
それが参観終了後のお店で、絵はがきとして売ってたときのうれしさといったら、もう例えようがないもの…。
今回の勝率は一割くらいでしょうか。
◎参考写真1:辛うじて今回購入したもの。ペルセポリス@Iranを思い出しました
ちょっと強気に言ってもいいですか。
センスねえよ
次の企画展も楽しみにしとりますから、ぜひ一枚一枚(150円!)に托したいわたしの思いに答えてくださいね。九州国博さん。
追伸:
九州にて。
飲んだ後のシメは屋台でとんこつラーメン。
九州国博参観後のシメは太宰府天満宮へどうぞ。
◎参考写真2:わたしも一応お参り。漢詩は得意な学問の神様にチベ語使って
by itoyamamakoto
| 2006-01-06 10:40