2006年 05月 25日
仏の世界離れてみると |
ホント最後?チベ旅8
ー玉樹
さあてアムド地方にさようなら。
次はチベット文化圏第2弾「カム旅行」を始めさせていただきますよ。
いやぁ、ラサにだけ1ヶ月間も引き籠もっていた2カ月前がウソのようなアクチブさだよね。よいよい。この調子で張り切ってまいりましょう。
賢明な読者ならわたしが先学期、西南民族大学でカム語を勉強していたことを思い出したはず。そう、そのカム語が使われているのこそ四川省西部、チベット自治区東部、そして青海省南部であること、などなど全ての情報はこの際忘れてしまって下さい。
何よりわたし自身、カム語のことなど全て忘れてしまってますから。
ごめんレンチン。ごめんイヒラモ(←ともにチベ語教師)。
あなたたちの生き様、エピソード自体は忘れないつもりですから。
さて青海省の省都、西寧からカム地方の玄関口となる同省最南部の玉樹(ジェクンド)までは寝台バスにて20時間の旅。単に八百数十キロという距離だけじゃなく、途中には4800mを上回るという眉唾ものの峠越えなんかもあったりするなかなかの長丁場。
チケット買うときには「十数時間よ」「十五、六時間でつくから」なんていう気前のいい言葉がぽんぽん聞かれた割に、やっぱり20時間の大台。
まあガイドブックの25時間に比べれば格段の進歩というとこやね。
さらに車内では、一つの狭いベッドに2人で強引にねようとする見た目そっくりチベット坊さん兄弟のむつまじさに頬をゆるめたり、
冬虫夏草の乱獲、密売を防ぐためらしい検問が行われていた途中の2カ所では、短銃を腰に付けたが警官が車内に現れて各人の身分証をチェック。
おいおい冬虫夏草はそこまで大層なブツなのか。ミャンマーあたりから雲南に密輸されるヘロインと同じ扱いじゃん
と思わせるようなイベントもあったりして、丸1日近い時間もそう飽きることなし。
とにもかくにも玉樹についたのは午後2時すぎ。
明日には町を離れるような日程とはいえ、時間がある限りは観光に費やしたい。
だってここにはサキャ派の名刹「ジェグ・ゴンパ(結古寺)」があるではないか。
サキャ派というのは、この数百年間ゲルク派にチベ仏教界の主導権を握られ、その他精力に成り下がっているものの、モンゴル帝国時代にはフビライ・ハンらに重宝され、チベット内外で影響力を示した由緒正しきお家柄。
寺院でも坊さんの住居でも灰色とえんじ、白のトリコロールで塗りたくるのが特徴的で、わたしもこの三色の組み合わせはお気に入り。ただそれだけの理由でサキャ系だったりもする。
そんなわけで玉樹の町の背後にそびえるジェグ・ゴンパに出かけてはみたんだけど、タイミング的に勤行の時間から外れていたこともあって、10近くあったお堂はどれも鍵が閉められた状態。こっちが金払ってるんだったら、
「おいおい、俺はどこから来たと思ってんだ。せっかく金も払ったのに、よぉ」
なんてグレちゃえるんだけど、これこそまさに入場料を取らないお寺を参る際のもろ刃の剣。そんな強気発言など口に出せようはずもなく、ただただ建物を外側から眺めるばかり。
もちろん、それでおちおち引き下がるほど本日これからの予定が詰まってるわけでもないんで、出歩いてる坊さんの数より多い鎖なしの犬たちに神経使いながらも、しぶとく境内および裏山の散策をスタート。
そうすりゃやっぱいろんなものが見つかるわけですよ。
眼下百数十メートル、玉樹の町を一望できる超見晴らしのいい屋外トイレ
だとか、
わたしですりゃ時に手をつきそうになる急勾配を登ってくるばあちゃん連中
だとか、
どんな家鼠もびっくり、野生に暮らす体長約40センチの山鼠
だとか、
夏毛になってそう美しくないけど仲はよさそうなライチョウ系の夫婦
さらに、
熊、オオカミ、羚羊、ヤク、イタチ、ヤギ、全部寺が保管する祭り用のはく製
などなど。
仏像、仏画をまったく見ない日があってもいいんかもね
そう思える1日を実感。
さらに寺からの帰り道には地元の高校生ジャンヨンツァイピー君(16)ともお知り合いに。なぜかスプライトをおごってもらい、なぜかそのままインターネットバー(網口巴)になだれ込み。
さすがに日本語のうてるパソコン環境ではなく、知り合いのブログやmixiなどに一通り目を通した後、
はてはて何したものかねぇ
と考えてると、となりでは「ウイニング・イレブン」に目の色変えるジャンヨンツァイピー君の姿。
おいおいこれじゃ塾長と同じじゃないですか(笑)。
当然のようにネット代までおごってもらって、その帰り道。
「ねぇ。今16才でしょ。卒業したらどんなことしたいの?」
「いや、まだ決めてない。友だちと遊ぶのが楽しいから」
「そりゃ、そうか。偉そうなことを聞いといて、自分だって16才の時は同じ。ただ学校行って友だちと遊んでるだけで楽しかったもんね」
「へぇ〜」
ちょうどわたしの半分の年齢。なのに妙に気があっちゃって別れ際に肩組んでパチリ。いっちゃいました。
◎参考写真:それぞれの写真説明知りたけりゃもう一回日記読んでちょうだいな
by itoyamamakoto
| 2006-05-25 19:05
| またまた旅に出ました