2006年 04月 27日
麻辣四川8天漫漫遊5 |
九寨溝が太陽だとしたら、黄龍は月。
エリア内に名勝地が散在する九寨溝が昼間、世界の美しいものを均等に照らし出す太陽だとしたら真っ暗な夜空に自らの美しさだけを主張するような存在が黄龍。
標高3000m超もなんのその。
とにかく最高地点にある最も美しい「五彩池」に向かって4キロもの道のりをひたすら歩いて上っていく修行のようなもの。
まさに一点豪華主義のわたしに相応しい
九寨溝入り口からは黄龍までは約120キロ。途中には標高約3900Mの峠越えもあるなかなかそれ自体が「お疲れさまです」の旅程なんだけど、それだけにお疲れしてもらっては今日中に成都に帰れまへん。
ということでお安いけど時間のかかる公共バスでの移動はキャンセル。
九寨溝入り口から黄龍、そして夕方発の飛行機に乗るための空港への足までをひとまとめに確保するため、豪勢にタクシーをチャーターいたしました。
ほぼ1日借り切って400元(約6000円)。
道のりは約170km、約2000Mのアップダウンも体験できるわけで、3人集まれば高い金額じゃないと思うんだけど。
◎参考写真1:お馬さんと併走できるのもチャーターならではのアトラクション
も・ち・ろ・ん
それだけじゃないのが小悪魔ガイドのたる所以。
ガメ・ゴンパに行きたんだよ、わたしは。
チベット仏教以前からチベットに根付いていた、そして今もしぶとく生き抜いている中央アジア原産の宗教「ボン教」。
見た目はチベット仏教とそう変わらないのに、シンボルマークは仏教徒は逆の「卍」で、お寺なんかの参拝もチベット仏教の時計回りに対して左回りだったりする。
ガメ・ゴンパは14世紀に建てられたというボン教のお寺としては四川省内でも指折りの古刹、名刹。飛行場のある川主寺から北に約20キロ。
見た目チベット族だけど成都出身の出稼ぎ漢族ドライバーに
「ちょっとガーミースー(ガメ・ゴンパ)によってね」
なんてお願いして、ちょうどホテルを出てから約2時間。お2人にはちょっとトイレ休憩をしてもらうすきにお寺の参拝。
◎参考写真2:改装中でお堂には入れなかったガメ・ゴンパ。ただ左回っただけ
黄龍の入り口には午前11時半ごろ到着。
タクシー運ちゃんとは午後3時の待ち合わせにして、早速チケット売り場に。
九寨溝と違って自分で歩いて観光するしかないんで、必要なのは入場券のみ。それでもその入場料は200元(約3000円)。学割でも150元。九寨溝とあわせるとすでに500元を超えちゃうわけで、
「ほんっといい商売してまんなぁ」と嫌みの一つも言いたいところ。
それにチケット売り場のおばちゃん。
「今の時期は水が少なくなっていて頂上の『五彩池』以外には水がありません」だって。
それでいてシーズンと同額の入場料を取るなんてあんたら人間じゃねえよ、まったく。
◎参考写真3:これが枯れた黄龍の悲しい姿。枯れ泉に「山のにぎわい」はなし
だいたい4時間あれば頂上まで行って帰ってこれるという黄龍観光で、我々に与えられた時間は約3時間半。
「まあ、水がないおかげで途中見る部分が減ってるからまあ大丈夫だろう」
というガイドの目算を裏切ってくれたのは、母親に襲いかかったちょい深刻な動機、息切れ。
100メートルおきくらいに「きつい」、さらには「休憩」、そして「休もう」。
最低高度が3000mはあるという黄龍エリア。わたしとしては短距離走のつもりで高地反応が出る前にさっと来てさっとこの地域を出てしまおう、高山病を騙しきってしまおう、のつもりだったんだけど、やっぱり「ご老体」を騙しきれなかったみたい。
約1カ月半、ラサに滞在してたわたしと半世紀を超える自分史における最高到達点を歩いているや母親とでは条件が違うのは仕方ないところ。
時計とにらめっこしながら、目的地までの距離と時間を逆算しながら、そして心の中でギリギリした思いもしながらも、それを表面に出すことはさすがにNG。
かのmingxizi大姐も黄龍では高山病に悩まされ、顔面蒼白になったという話を思い出しながら、
「とにかく頂上は綺麗だから。後半は道のりも楽になるし…」
自分のキャラに合わないのを知りつつも励ましモード。さすがに「九寨溝・黄龍1泊2日の旅」を企画したこと自体、ちょっぴり反省もしてしまったのでした。
それでも、さすが1940年代、熊本の農家出身の底力。だんだんと休憩の回数も間隔も減っていき、ゆっくりとそれでいて確実に前進するようになり、2時間弱というほぼ理想的な時間で唯一の目的地「五彩池」に到着。
「頂上にも水がなかったらさすがにキレるだろうなあ」
という不安もあったんだけど、さすがにそこまで日ごろの行いが悪い人物は我がツアーに参加してなかったみたい。
前回10月に見たときよりも若干水が少なくて雪が多かったけれど、やはり一点豪華主義にふさわしく、それだけで九寨溝に対抗できる「天国」が広がっておりましたよ。
◎参考写真4:うるさい中国人たちも黙ってしまうこの光景。一瞬だけだけど…
さあ、見るもん見たらさっさと帰りましょう。
おおよそ行きの半分の時間で入り口まで到着。流石に最後は膝にきたみたいだけど、タクシーに乗っちゃえばもう寝てもらおうが、歌を歌ってもらおうが結構。…当然ずっと寝てたみたい。
成都行きの飛行機は17時10分発。午後6時前には、かなり汚れてるけど確かに濃密な空気を実感する参加者一同。
これでなんとか「九寨溝・黄龍1泊2日の旅」がフィニッシュ。
無理を承知の強行日程、「いやはや、ほんとお疲れさまでした」の慰労会は味千拉面にてとんこつラーメンと焼き餃子をご賞味いただきました。
そして自分へのご褒美はぎんぎんのキリンビールで。う〜ん、最高。
by itoyamamakoto
| 2006-04-27 18:39
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