2006年 04月 06日
ラサにもいたどら息子 |
ついに探し出した息子 帰宅しぶる
《子供失踪 父母涙で洗顔》報道
【4月6日=西藏商報】 4月4日になっても読者から本紙専用ホットラインへの電話は続き、楊林さんが現れそうな場所についての情報提供が相次いだ。善意の市民2人は引き続き市内のインターネットバー(ワンバー)めぐりを続けたものの、確たる成果は得られず。タクシー会社のゴン(gong1)社長は、もし5日午後になっても楊林さんが見つからない場合にはタクシーの窓の分かりやすい場所に彼の写真を貼り付け、6日になれば、会社が所有する20台のタクシーすべてを使って、市内全部のワンバーに一斉捜索をかけると提案してきた。
≫ワンバー 別の一幕≪
4日早朝、娘熱路のワンバーにて捜索を続けていた善意の2人が。楊林さんの姿を見かけたわけではないものの、ワンバーの中では徹夜でネットに明け暮れる大勢の未成年たちを確認。2人いわく、こんなワンバーがあるからこそ楊林さんに家出の機会を与えてしまったわけで、また今後も同じようなケースも起こりえるのだ、と。これほど多くの子供たちがこっそりインターネットに明け暮れる姿は本当に心を痛めるもので、こうした現象を生み出した「悪意」のワンバー経営者たちは絶対に責任を負うべきだと感じたという。
≫学校 手がかり求め≪
学校が昼休みの時間、記者は読者2名と北京中学に向かった。同校の教師によれば、学校には王勤という生徒が2人いて、ともに高一年(高校一年に相当)でクラスは別々。ただ、どちらが手がかりとなる生徒かは分からないという。読者2人は再び拉薩中学に車を走らせ、かつて情報を提供してくれた桑という生徒に再度確認。彼の言っていた「王勤」は、北京中学高一14班の男子生徒で、背はそれほど高くないということだった。
手がかりを知る王勤さんを特定できたことで彼の担任雷先生に尋ねたところ、雷先生は「王勤くんは午後3時頃から授業にやってくるはず」と説明。
ようやく探しだした王勤さんに話を聞いてみると、「先週土曜日に北京中路のワンバーで楊林を見かけたけど、ここ数日はもう会ってない。きっと『胖子(ふとっちょorぶた)』っていうあだ名の奴と一緒にいネットしてるはずだよ」と話したのだった。
≫深夜 楊林を発見≪
4日午後9時5分、ある読者から電話で「徳吉路の辺防大厦近くで楊林と名乗る青年を見かけた」という情報提供があった。
同10時22分、電話をくれた読者の案内で楊林さんの両親とともに娘熱路近くにある怪しげな路地に到着。ある間貸しアパートの2階一室でついに楊林さんを見つけたのだった。ドアを開けた後、両親はじいっと楊林さんを見つめ、その間一言もなし。楊林さんの方はちょうど足を洗っていたところで、両親の姿を見るなりやはり何も言葉はなく、扉に立つ人物たちの方にちらりちらりと目をやるのだった。
誰もがハッピーエンドを期待する雰囲気は「ぼく帰らないから。家に帰ったらどうせ僕をぶつに決まっているし」という一言で打ち破られ、両親もこのような状況になってしまった以上、何もできずにいるのだった。
記者は楊林探しを手伝ってくれた善意の読者2人に電話、彼らもすぐに現場に駆けつけ、楊林さんへの説得工作がスタート。ところが楊林さんの方も家には帰らないの一点張り、それどころか「学校には行かない。アルバイトをして金を稼ぐ」と言い始めるのだった。
説得は5日明け方近くまで続いた。とうとう楊林さんも翻意、ただしその晩だけは親切な読者の家に寄せてもらい、6日には学校に行くこと、授業が終われば自宅に戻ることに同意したのだった。楊林さんの父親、楊金玉さんは「子どもが戻ってきてくれるだけでいい。我々夫婦は子どものためならばよろこんで全てのことをします。勉学の道、社会への道のどちらを選ぼうとその選択を尊重する。ただ、我々両親の気持ちを分かってほしい」と話したのだった。
◎参考写真:きょうは楊林君も登校したはず(だよね)、の拉薩中学。ポタラの西
【評】
昨年11月7日のエントリー「日中のどら息子比較論」
→http://itoyama.seesaa.net/article/9108610.html(中国以外限定)
や、
今年2月4日に書いた、節操なしの旅日記15「どら息子に騙されかけ」
→http://itoyama.exblog.jp/684496
とあわせた「どら息子3部作」ということにしときましょう。
スターウオーズ、ロード・オブ・ザリングなど名だたる作品は3部作が基本。ちょっと今回の「どらちゃん」はスケール小さいような気もするけど、まあそこはご容赦を。
たぶんインドにも「どら息子さま」はいるはずなんで、今後「4部作」「5部作」になる可能性大なんだだけどね。
さて、この記事にはとうぜん初報(第1報)、および第2報があって
1:息子がいなくなり涙ながらに新聞社に協力を求めてきた両親(3月下旬)
2:その姿が読者の共感を呼び協力者続々。でも本人見つからず(4月4日)
という内容。
学校がいやでワンバーに浸り、結局家出を選んじゃったどら息子。
よりによって「足を洗っている(笑)」最中に隠れ家を突き止められ、時代劇の悪代官さながらの悪あがき。
「叩かれるから家に帰らない」
その理由に笑いました。
たぶんこれまで平気で息子に手を出してた金玉お父さんも、
「子どものためならばよろこんで全てのことをします」
その譲歩ぶりに再び笑いの渦。
よほど息子がいない現実が身に染みたのかもね。
ところで見出しであえて直訳した「子供失踪 父母涙で洗顔」なんだけど、
原文は「孩子失踪 父母以涙洗面」。
あふれ出す涙で顔を洗えるほどに悲しんでいるという例えなんだけど、タイ留学後に成都で失踪した湖北省武漢出身、初代のどら息子の父親同様に平気で人前で号泣できるのはやはり民族、文化の違いなんだなぁ、とあらてめてしみじみ。
さてある意味、事件の舞台といってもいい「インターネットバー」なんだけど、中国在住者なら当然ご存知。でも日本とかの人だったらちょっと???かもしれないんで、こっちもちょっと説明。
未成年のガキども(+少なからぬ大人連中)は、インターネット上にて国内の中国共産党の動向をチェックしたり、激動の国際情勢に目をやったりしているわけではなし。
単にチャットもしくはパソコンゲーム、もしくは持ち込んだDVD鑑賞に明け暮れているだけのこと。安いところだと一時間2元(約30円)程度。だからいくらでもパソコンの前に座り続けてるわけなんだけど、それによって知識の量が増えるわけでも、井の中の蛙から抜け出せるわけでもない。極めて非生産的。
ん、わたし?
わたくしは一昔前の標準的家庭の「ファミコンは1日一時間まで」同様、ネットは1日一時間と決めておりますので、あしからず。
ちなみに本日の拉薩晩報では奇しくもこのような記事を発見。
見出し的には
「家長陪孤子“健康”上網(保護者同伴で“健康”インターネット)」
ちなみに中国語の「健康」には「健全」の意味もありますので、別に健康器具とかが備わってるワンバーのことではありません。要するに週末など保護者同伴でネットバーを訪れ、インターネットを楽しむ子どもたちの姿が見られるようになった、という内容。
ライバル紙が少年少女のネットがらみネタで紙面をにぎわせてるから、晩報的にも何か同じジャンルのネタで一矢報いようと書いた記事だとしたら、それはそれでライバル心剥き出しで面白いんだけど、ね。
楊さん一家の“落としどころ”もこの辺にあるのかな、と。
しょせんは楊林くん、働くなんてできんでしょう。小遣いもらいの身分がどれだけ素晴らしいかを思い知るだけ。
あっ、ちなみに日本のどら息子は今ドバイに旅行に行ってるみたい。ドバイの「ド」はどら息子の「ど」っ!!だから、ど〜んと★★★★☆
by itoyamamakoto
| 2006-04-06 11:12
| これは面白ニュース!?