2006年 03月 28日
ラサ版ウイスキー対決 |
晴れてりゃいいんだけど、太陽がちょっと雲に隠れりゃ一気に冬に逆戻りしちゃうラサの町。
夜が寒い。
特にひとり者には…
そろそろ一週間ほど日本人と話してないなぁ。
そうそう、まもなく日本で入社式に臨むはず、田中さんにもらったジャックダニエルは美味しかったなぁ。
成都行き航空券が半額で買えるってことを教えてあげたから、その浮いた金で買えたんだよなぁ。あのジャック。
しばれる夜にはやっぱウイスキーだよなぁ。
もちろん日本の約1、5倍、一瓶200元以上するような洋モノを買えるはずもなし。シングルのショットで20元以上する外人向けレストランも論外。
ここ半月ほどのウインドーショッピングで目をつけていた、それでいて買うことまでは踏ん切りのつかなかったズバリ中国産「威士忌」という名のウイスキー以外、わたしに与えられた選択肢はなし。
そう、洋の東西は違えどウイスキーはウイスキーに違いないはず。ウイスキーと呼べるだけの方程式は守っているはず。
よし、買っちゃうか。
ただこの中国産。なかなか手に入らない貴重品のようで、数あるラサのスーパー、個人商店のうち、その「威士忌」をおいていたのはたった2カ所。
一カ所は比較的開けたショッピングエリアにある四方超市(スーパー)。もう一カ所は、こてこてのチベタンエリア、バルコルの裏にあるスーパー。
他の店ではどこでも見かけないのに、この両店舗にはそれぞれ5,6本ずつはストックがあったんでわたしの目にも飛び込んできたわけ。
ちなみに四方超市では当然値札があって56元(約800円)。
バルコルスーパーがこれより安けりゃいいのに
と少しでも節約しようと本日、まずはバルコルスーパーへ。
これまでは道路側から棚に並ぶ「威士忌」を見てただけなんで、実際に手に取るのは初めて。するとどうでしょう。いっちょまえにこちらのウイスキーにも値札シールが貼ってありました。どれどれ、おいくらなの?
「10元」
はいっ?
はり間違えっすか?
「あのぅ〜。このウイスキーってじゅ、じゅ、10元?」
「そこにはってある通りよ」とチベおばちゃん。
(ど、どういうこと?四方スーパーがぼってるの、それともこっちがおかしいのか。とにかく事態が変わらんうちにゲットせねばなるまいぞ)
「そうっすか。じゃあ一本頂きますわ」
帰り道。
まさか10元とはなあ。いくら庶民のエリアだからって別のところで56元なものを10元で売ってもと取れるわけないし…。
そうか、これこそまさに今話題沸騰、ニセモノウイスキーに違いない。
だいたい偽ウイスキーといえば、都市部で洋ものバーボンやスコッチが外見そっくりに売られてるのが相場なんだけど、それは都市部プチブルが買えるばったもん。こっちのチベタン及び、貧乏旅行者には中国産のばったもんでちょうどいいという話ですか。
ちょっとすねちゃった自分に悲しくなったんだけど、モノは考えよう。
ならば…
飲み比べてもいいんじゃない。
どうせ50元以上の出費は覚悟してたわけだし、別にこれから四方超市の「威士忌」を買っても予定より10元ちょっと余計にかかるだけじゃないか。
なかなかウイスキーの飲み比べなんてできませんよ。でしょ?
で、四方スーパー。
「実際自分の見間違えで2つのウイスキーは全く別もんだったんじゃ」
というわたしの懸念は雲散霧消。じっさいこっちも十分うさんくさい「威士忌」。今になっていうのもなんだけど、威士忌なんてウイスキーの中国語。別に商品名でもなんでもない一般名詞。そんないかがわしいものに50元以上の値を付けるこの店だって超ぼったくりバーに見えてくるから不思議なもの。
で、帰ってまいりました。我がヤクホテル。
お天道さんがさんさんと降り注ぐ超お昼間ですが、まあかまわんでしょう。
まずは実際に2つの瓶を並べてみましょうよ。
う〜ん、ラベルはほとんど同じだ。
さらに瓶の下の方に張ってある商品説明のシールを観察。
「煙台瑞事臨酒業有限公司」
ってところがつくってんだ。煙台と言えば、ビールの都青島のすぐ近く。さらに煙台自体も中国国内ではワインの産地として有名なところ。で、ウイスキーも作っていたんですね。
酒精度:37.5度
原材料:軟化水、玉米(トウモロコシ)、食用酒精
やっぱ、男(≒一匹狼)はバーボンでしょう。原材料トウモロコシってことはまさにジャックダニエル風味を期待しちゃってもいいってこと?
浄含量:500ml
えっ、瓶の大きさ全然違うんですけれど…(四方版が一回りビッグ)
そういわれりゃ、中の液体の色も濃さが微妙に違うようだし…
うんっ?
キャップは完全に別物ですねぇ。
◎参考写真:右がバルコル。左が四方。キャップについては続きを読んでっ!
もうこりゃ少なくともどっちかは「本来お天道様の下を歩けないモノ」に違いない。
この時点で悪いけど、バルコルウイスキーにかなりの赤ランプ。そりゃ値段が値段だし仕方ないよ。でも味で勝負だから。
そう。飲んでみるしかない、
まずは四方ウイスキー。
よく見りゃキャップがブドウマークなのがちょっと気にかかる。
実際にワインのフタみたいなちょっと柔目の金属チック。それをはずすとどうでしょう。日本のコンビニで300円くらいのシャンペンもどきを買ったとき、ついてくるようなプラスチックのキャップが登場。
おいおい、これってウイスキーじゃねぇよ
いくらワインの名産地、煙台産でもウイスキー作りの「ほこり」ってモノが感じられないじゃないですか。
瓶に口をつけて、ゴクリ。
うん。高濃度のアルコールであることは間違いなし。
テネシーの小川のせせらぎも
スコットランドの荒々しい海の香りも
何も感じられない。
なんか甘い。まだ「ブランデーのニセモノ」とアピールした方がいいんじゃない。キャップだってそうなんだし。
じゃあ、バルコルウイスキー。
こっちはキャップは一応ウイスキーチックなんだよね。
中央に「China」。まわりにも「YANTAI CHINA」なんてそれっぽい事書いてるわけだし。なんのひねりもないけど。
ゴクリ。
うん。10元相当の味でしょう。確かに40度近いアルコールは感じます。ビール大瓶が一本3、5元はしてしまうこのラサの土地にて、10元で40度弱が500ml(公称)というのは超お得。まさに労働者の味方と呼ぶに相応しい「威士忌」ではないでしょうか。
結論:両方ともニセモノ
原料も違うし作り方も違う。ともにウイスキーもどき。どっちかというとバルコルの方がウイスキーチックな気がしないでもない。でも両方に共通してること。まちがいなく飲み過ぎは翌日の地獄を招く。
でも、わたしは大人ですから、節操はあります。
飲み過ぎる前に眠くなるというありがたい体質もあります。
今後は当然バルコルウイスキーでいかせてもらいましょう。飲み過ぎて体に支障が出る前には下界に降りるタイムリミットがくるはずだし、ね。
さて、誰か物知りな方に質問。
この「煙台瑞事臨酒業有限公司」。実在する会社なんでしょうか。この「威士忌」、ホンモノはあるんでしょうか?だいたいこれまで中国のどの場所でも見かけなかったってのも変でしょう、やっぱ(笑)。
by itoyamamakoto
| 2006-03-28 11:38
| 食い物、飲み物腹一杯