2007年 11月 24日
ハッヒナーベーto師匠 |
火鍋好きのダジャレ好きとしては、どうしても一度はやってみたかったイベントこそ「火鍋お誕生会」。
誕生ケーキに立てたろうそくの火を吹き消すくらいなら、地獄油のエキスにたっぷりまみれて翌日尻から火を吹かせてやろう。
それこそが火鍋ジャンキー最大級の祝意の表し方というもの。
もちろん、誕生日の定番ソングも
「ハッピ・バースデー・トゥ・ユー♪」
ではなく
「ハッ・ヒナーべー・トゥ・ユー♪」
ということは問答無用です(笑)
はたして今宵、血の池地獄の生け贄となるのは…
インド師匠でございます。
これまで牧場主自身の誕生日ネタも含めて、日付が変わった直後に当人を驚かせるバージョンのインド式誕生パーティーをこの日記でも何回か紹介してきたけど、とうとう最大の大物登場ということになりましたな。
厳密には24から25へ、日付変更線を超えたところでめでたく29歳、三十路手前のラストイヤーが始まることに。
ただしスケジュールもすかすかで行動範囲もたかが知れたチャンドラバーガーズやインド人学生たちとちがい、師匠はあちらこちらにお忙しい方。あくまで「サプライズ」が肝だからあらかじめアポを入れるわけにもいかず、かといって午前0時に急襲して部屋がもぬけの殻だったら哀しすぎる。
ということで、苦心の末に編み出した究極の策こそ、
「ピロリンゴ火鍋禁断症状」説(笑)。
この夏の四川・チベット旅行にて正宗川味麻辣火鍋(本場の味)の虜になったらしいJNU日本人留学生いちのフィールド・リサーチャー、ピロリンゴ姐さんが「牧場主、火鍋食わせろ」と何度も督促状出してきた件を釣り餌に使わせてもらいました。
すでに初回、第2回と連続して「徳里火鍋隊」の活動に参加しているインド師匠だから、この理由ならば誘いやすいし、断るはずもない。
とここまではすべてがうまくいっておりました。
必要なキャストはほぼ固まったからには、あとは鍋そのものの準備に没頭することにしましょうか。経験則上、仕込み段階で8割方その評価が決まるという自宅火鍋なだけに、午前中からバイクかっ飛ばしてデリー市内をあちこちと新鮮な食材調達に走り回っておったのですが…
ん?
携帯からピロ姐さん。
「あのなぁ、間違って師匠の携帯に『誕生日のプレゼントどないしょか』ってメール、送ってしもうてん。絶対バレてるよなぁ。どないしよぉ…」
「うげぇ。よりによって、何で師匠なの。まあ、向こうも優しい人だから気付かないふりをしてくれるとは思うけど、とにかく様子見ながら、しかないでしょ」
そんなわけで、こっからが単なる「ガキのお誕生会」とは違うところ。レベルの高い「おとなの世界」のやりとりのはじまりはじまり。
とにかく、こっちはせっかく色んな頭ひねってきたんだから途中でやめるのは惜しいし、師匠だってたぶん、自分のためにやってくれてる好意をいっさいがっさい無にするようなことはなく、ドッキリにも乗っかかってくれるはず。祝い手と祝われ手による無言の契約、共同作業によってのみ、このサプライズイベントが成り立つこと、分からないはずがないのだから(笑)
そんなわけで、見えないかけひき、つきあい、のり、つっこみの糸が複雑に絡み合った029の部屋の火鍋劇場が始まってしました。
結局の参加者は既登場人物に加えて029の住人Taka氏に上海歴4年のミッキー女子という5人編成。
あっ、そうそう。
いちおう「火鍋隊」なので第3回火鍋のコンセプトも明らかにしておくと、初回はマニュアル通りの手順でベーシックな味を確かめ、2回目はスープ作りなどをアレンジしてオリジナルな要素を加味したからには、あとは火鍋隊流の味の確立と行程の迅速化。
T姉さんに持ち込んでもらった火鍋スープのセットには悲しいかな限りがあるわけで、なんとかそこから独立する術があればもうけものだし。
具材としての初登場はカリフラワーと高野豆腐。カリフラワーは本家中国でもおなじみ、そして高野豆腐も向こうの凍豆腐の代替品と思えばあわないはずがない。
羊のスライス肉が相変わらず見つからないんで仕方なく続けている苦肉の策、お手製トリ団子は全部を包丁で叩くととてつもなく時間がかかるから、歯応え重視のために半分は直手でしばいて残りはミンチで購入して、なんとか胃袋的にもノンベジ鍋の面目を保つことに成功といったところ。
「うまい!」「この味っ!」「幸せぇ」
この手のことばは何度聞いても嬉しいものですな。
さて。
知ってることを知ってるのに知らないということで話を進める主催者側に、知ってるのに知らないふりをして楽しんでいてほしい主賓。
ところが、この主賓もおとなしくしていないから事はまだまだ波乱含み。あの、やんちゃ者めが…
誕生日まではもう一時間も切った午後11時すぎたあたりから、確かにみんなのお腹もいっぱいになってぐだぐだモードに入りかけているとは言え、
「じゃあ、そろそろ」
「僕らはこの辺で…」
とか、会話の端々に「そろそろおいとましますよ」的発言を織り込み始めるから困ったもの。わたし、Piroringo、Takaの3人、
「この男はいったい何が言いたいんだ」
「サプライズの存在を知った上でそれを拒もうとしてるのか」
「それとももっと愛しき人と12時を迎えたいとでも思ってるのか」
などなど色んな妄想がふくらみ始めるから相手の思惑をくみ取った上でのベストな対策をとるに至らず。全く聞こえないふりをして会話をそらすしかないじゃないですか。
さらに???マークが増えたのはトイレか何かで部屋を出て行ったとき。これはチャンスとばかりに上海ミッキーにも「もうすぐ師匠の誕生日だからそれまで待っててね」と協力を求めてみると、
「実はここにおじゃまする前、『僕の誕生会があるかも知れないから』なんて聞いてたんですよ」
という情報を入手于するにあたって、ますます師匠の本音は霧の中。
とにかく時間をつぶすために梅昆布茶をわかしてみたり、デザートのチーズ菓子を必要以上に盛り上がって食べてみたり。そんなごまかしも残り10分も切った頃にとうとう、
「じゃあ、この辺で帰ります」と立ち上がり、上着を着始める師匠。
もうやばい。ここまできてすべての計画が水泡に帰してしまうのか…
「あっ、え〜っと、そうそう。Takaちゃんのシタールを聞きましょう。弾いてくれるそうです」
ということで、辛抱たまらず誕生会モードに持っていってしまいました。
この日のために急きょ昼間にアレンジさせたおなじみの曲は、シタールの調べに乗っちゃうと
「はっぴー・ばーすでー・びよよょ〜〜ょ〜〜ん♪」
そしてわたしはクローゼットのおくからフルーツケーキを登場させ、びよよょ〜〜ょ〜〜んなバックミュージックにあわせてピロ姐と急いでろうそくを点火。そしてその経緯を見守るインド師匠は満面の笑み。
「いやぁ、あるのかないのか不安で。いつになることか、待ってたんですよぉ」
だって。
(なら、おとなしく待っとけやあぁぁ!)
おそらくホストの3人、皆そのようにつっこみ入れたはず(笑)。
どうやら3日くらい前から、我々に誕生日のことを言おうか言うまいか、迷っていたという師匠。
「インド人流に自分で誕生会開こうかと思ったくらいでしたよ」
デリー生活すでに7年目という師匠にとって、7回目のバースデーがこれまでにない特別な日になったのであれば、それこそ満足でございます。「今年の目標」として宣言した2つの野望、ぜひかなえてほしいものです。参加者一同、楽しみにしておりますので。
「はっ・ぴーなーべー・とぅー・ゆー!」
by itoyamamakoto
| 2007-11-24 04:03
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