2007年 08月 25日
引きこもってた一週間 |
携帯電話が消える。
バイクがパンクする。
バイクで足の甲をヤケド(軽傷)する。
二日酔いにのたうち回りながら一日終わる。
選対事務局長として応援した首長候補が惨敗する。
若干の自業自得も含みながら、とにかく久方ぶりにアンラックが立て板に水、オンパレードにわが身にふりかかり始めたお盆明け。
賢明な読者諸氏ならお分かりの通り。これくらいのこと、ここ数年にも何回か遭遇いたしました。
こんなときはじっとおとなしく「台風一過」を待つに越したことがないというのが三十路が得た生活の知恵でして、授業にでる以外この一週間、ほぼ寮の部屋にて「引きこもり生活」を送っておりました。
その忘備録ということで。
☆夜。上海(邦題「夜の上海」)
本木雅弘、趙薇(ビッキー・チャオ)主演の中国映画。ファッションショー演出のために上海を訪れた日本のカリスマ・スタイリストとさえない女性タクシー運転手との一夜限り、ふしぎなランデブーが始まる。
筆談以外に意志を通じる手段もない者同士が、夜の上海をさまよいながら、何となく心を通じ合わせていき、それぞれの恋物語に区切りをつける、というストーリー。
ちょうど北京を去る頃に劇場公開、時をほぼ同じくして市場にも出回り始めた海賊版DVDを勢いで購入。要するに「ジャケ買い→撃沈」のパターンですな。
「モツくん、だいじょうぶかっ!」
という内容でした。
ほか竹中直人など出演。
☆THE 有頂天ホテル(三谷幸喜)
豪華ホテルの大晦日に繰り広げられる舞台さながらのてんこ盛り映画。
20人以上の「メーンキャスト」たちが、ニューイヤーのカウントダウンパーティまで、ほぼリアルタイムで展開していく笑いと笑いの数々。仕掛けやトリックの細かさなども、まさに三谷幸喜のお家芸ということなんでしょう。
TSUTAYAで300円で借りるに超おすすめ作品だけど、はたして劇場で見る価値あるか、といわれれば、各主役級出演者たちの余程なファンじゃない限りちょっと厳しいか、と。
わたしは大先生につける「モンゴルの油」が一番気になりました。
☆さらば、わが愛(覇王別姫)
陳凱歌監督、レスリー・チャン、チャン・フォンイー、コン・リー出演
気合いの入った中国映画。
なぜか今頃になって初鑑賞。
2006年、作品「無極」においてはその内容、そして後始末においても極まり無く無様な姿をさらしてしまった陳凱歌監督。その姿からは想像できないくらい重厚な作品でした。
カメラワーク、シーン構成、音楽、男をめぐる男女間(レスリーvsコン)の愛憎の描き方、どれをとっても映画が総合芸術の最高峰であることをいかんなく証明しております。
そんな作品を生み出したる大陸の深遠な文化、
中国4000年はやはり恐ろしい
というのが素直な感想やね。
特にレスリー・チャン。配役の時点で「勝ったも同然」といえなくもないけど、ブエノスアイレスといいこの作品といい、その演技、まあすごいもんです。モノホンは違います。
そういや、ブエノスアイレスで思い出したけど、「夜。上海」もウォン・カーアイ監督の「恋する惑星」くらいに「意味がないながらも突き抜けてさわやかな作品」になってりゃ、評価も変わったんでしょう…
☆上海プロレス飯店
気合いの抜けすぎた香港映画。
スペルデルフィン率いる大阪プロレスにヒントを受け、香港でプロレスを見ながら食事ができるレストランを流行らせようとする兄弟の話。
兄弟の父親で伝説の小籠包名人役をなぜか間寛平氏が演じる(といっても登場間もなく逝去)といったセッティングだけでもそのバカ映画ぶりが分かろうかというもの。
よしもとローカル芸人総出演、香港B級映画マニア垂涎のB級芸人もちらほら登場、
「なぜインドに来てまでこんなものを見てるんだろう」
という気持ちになれる哲学的な作品でした。
☆亲兄热弟(北京電視台、全30話)
中国再々留学中に滞在した「北京の家」の若夫婦オススメのテレビドラマ。
「北京の人たちの日常会話が勉強できて、それでいて内容も面白いやつ」
というリクエストに見事答えてくれました。当然ながら「笑い」のある作品を期待していたのに…
第一話目から三男が白血病に(爆っ!)
その後も、幼くして分かれた四男は殺人犯となり獄中で兄弟と再会、次男は妻との間に授かった子どもが3度目の流産、長男は離婚、失職、失恋などなど。
そんなすべての困難に立ち向かい、クリアしていくたびにお約束、肩をくんで笑顔を取り戻す熱い4人兄弟のペースにいつしかわたしも乗せられてしまってました。
☆涙そうそう
題名からして気に食わん。原曲は好きだったけど、見る人を泣かそうとする意図が明からさますぎて、わたしの反感をかってしまいました。
基本人を泣かすのは悪い奴らですから(笑)
妻夫木聡主演、長沢まさみ出演。
ようやくこの世代の顔と名前が一致するようになったのが収穫といえなくもなし。やっぱ日本の時流からは3年くらい遅れておりますな。
とはいえ、話の最後半に登場した沖縄映画のマスコット平良とみさんこそがやっぱ絶品。
その女「ヨーダ」のような存在感、たった1シーンで物語の機微を締め上げようという野心あふれた演技にはぐらっと心を持ってかれそうになっちゃいました。
沖縄、また行きたくなってしまった。
☆UDON
うどん伝来の地は博多で、わたしのソールフードは久留米ラーメン。
違った違った、今回は踊る!讃岐うどん走査線(笑)。
人口100万人に対してうどん屋の数900件。
あら、香川ってSAGAより人口多かったのね。
違った違った、うどんの聖地であるところの香川県。
ちょい昔、村上春樹のエッセーかなにかで「民家に紛れ、人知れずたたずむ香川のうどん屋めぐり」の話は読んだことあって、興味をそそられたんだけど、そん時はそれっきり。
今となっては、「うどん一杯90円」とか銘打ってるくせ、普通にお腹いっぱいになろうとしたら平気で300円以上するような讃岐うどんチェーンが全国展開し終えた後の映画化だけに、どうしても興ざめしてしまうのはわたしだけなのか。
ユースケ・サンタマリアとトータス松本とのコンビ、ビートたけしと一緒にやってた番組を思い出してしまいました。
ああ、牧のうどんのネギ山盛り、唐辛子ぶっかけ、スープおかわり自由なきつねうどん(中メン)が食べたい…
☆HULA GIRL(フラガール)
舞台は昭和40年、福島県いわき市。
でもここまで来るともう、自分の中の時代設定も場所設定も言語設定もしどろもどろ。
2004年成都留学組の忘れ形見、シャオフイシャンのプリミティブなフクスマ弁というのを一度聞いたことがあるけど、まさに沖縄のおじいおばあ並みに???がつく言葉、でも劇中にそんなモロ方言が出てきたのは一回限りでした。
たぶん昨年の映画賞とかを総なめしたらしい映画。
知り合い数人から勧められたこともあって鑑賞。
でも、ちぃっとも感動しない。
お風呂の銭湯シーンと父ちゃんにめった打ちされる場面以外そんなにみんな頑張ってないし、南海キャンディーズも別にいい演技だったとは思わないし。
それに炭坑という、たぶん現代日本人にとっては外国のことを見聞するような閉鎖世界の異文化ぶり、をもっと際だたせようと思ったらそれもできたはずで、そうすると蒼井優主演では絶えきれなくなってしまうし。
実は密かに最近涙腺アクティブなわたしでしたのに、このざまかよ。すでにDVDの見過ぎで感覚が摩耗したのでしょう。
唯一、松雪泰子が鳥栖を東京人に説明するときの唯一のキーワードだった時代がああ、懐かしい。
☆坂の上の雲(全8巻)
司馬遼太郎の明治解釈小説。維新から日露戦争までの「勃興記」。
日本の明治維新からの数十年を植民地支配後の独立過程に重ね合わせるインド人、西アジア地帯の人々ってのは結構いるもんで、その人たちよりも知識において後れをとってちゃ日本人としてのメンツに関わる、と思ったかどうだかは我のみぞ知るところ。
高校時代、日本史専攻ながらすでに近現代史の頃(3年2学期以降)になるとサボタージュ常連組、他のクラスに交じって体育の授業(ソフトボールやサッカー)に明け暮れていたわたしだから、正岡子規なら松山坊ちゃんスタジアム、日露戦争なら203高地、乃木将軍、日本海海戦くらいのお粗末知識ぶり。
近代国家形成に向けて純粋無垢でまい進してきた日本人のメンタリティーが日露戦争を境に変化してしまった
という説明は、少なくともわたしの心の的は射ぬいてしまいました。
というか、司馬さん以上に情報量に裏打ちされた時代論を語れる人、そうそうは現れないでしょう。
坂の上の雲はデリーの日本食屋YAMATO-YAさんの文庫から借りてきたものだけど、それ以外のDVDはすべてマイルームに取りそろえております。ほかにごっつええかんじ全15枚、探偵ナイトスクープ全4枚もあるよ。
以上の堕落グッズがほしいデリー在住者の方々、いつでもご連絡ください。喜んでこの「引きこもりセット」お貸しします。もちろん行く末はそちらの自己責任ということで。
ん、わたしの方?
インド人美人学生たちとの「わたしは〜をしたことがありません飲み会リターンズ」において、7種類の酒をあおってしまい、またしてもハングオーバー。ゲーム・イズ・オーバー。
これをもちまして引きこもり期間は終了、とさせていただきます。
by itoyamamakoto
| 2007-08-25 22:48
| 他にもまだこんなこと