2007年 06月 27日
北京の家は北京の家に |
直通特別快速車は定刻通り19時38分に上海駅を出発、そして翌朝、定刻に寸分たがわぬ7時6分に北京駅に到着。ここまで時間通り運行されると、驚きを通り越してあきれてしまいますな。
どうしてしまったんだ、中国っ!
と。
もちろん、飛行機のビジネスクラス並みにリクライニングのバリバリを期待していた一等座席車両(283元)は、調節機能なしで傾斜角100度くらいの固定座席。さらに4人が2対2で向き合うグループ席が割り当てられちゃったりとか、それくらいの災難はありましたさ。
心地よき眠りのために足をのばそうにも、向かいには見ず知らずオヤジ(でもたぶん自分より年下)がいて、このオヤジがまた夜の間ずっと頻繁に足の位置を動かすから、そのたびにわたしもあっち動かし、こっち動かし。両雄の脚は絡み合い、もつれ合い、危うく四の字固めをかけあいそうになるくらい。
でもそれだけ。
車両の床めがけて子どもにお小水をさせる母親も、ひまわりの種やタン、カップ麺のスープをまき散らす団体さんも、そんな床に直接横になる労働者も、わたしたちがかつて「人民」と呼んでいた人たちの姿は皆無。
発車間もなくして公安警察による客全員の身分証、移動許可証チェックが行われたことからも分かるとおり、そもそも一等車両専用のこのZ22次、かなりかぎられた人しか乗車してないし、許されていないということは明らか。
持つもの、持たざるものによる身分社会の階層化がさらに徹底、分別されてきていることが感じられました。
どちらかというと都会に出稼ぎに出てきた田舎もん、親ガメの背中に子ガメ状態で、二つ重ねた巨大バックパックを背負って北京駅に降り立ったわたしといえば、地下鉄乗り継ぎで市内北西部にある学生街、五道口へ。
まだまだ8時をすぎたころで、町はようやく動き始めたばかりなんだけど、明日から始まる北京語言大学での4週間短期留学にそなえ、大学内での寮の手配、入学手続き、そしてチャンドラバーガーズとの再会などなど、本日中にしなきゃいけないことは盛りだくさん。
足早にたどり着いた語言大学内の留学生宿舎案内所にて、
「すんません、明日からのコースに参加するんで、空いてる寮を教えてもらえますか?」
「ここで把握している寮に今は空きがないんだ。ほかに2カ所、学内の寮を管轄している宿舎があるからそこに行ってみたらどうだい」
メガネのとっつぁんボウヤみたいな担当職員。口調は優しいけど、自分じゃ何もしたくないオーラが体中からあふれ出しております。
そして、いやぁな予感は的中。
それから2時間、他の2カ所どころか学内10数棟ある寮の門を一つ一つ叩いては収穫なしでトボトボ引き返すことの繰り返し。
そろそろ肩に食い込むリュックの重みも相当になってきたし、気分転換を兼ねた入学手続きをはさんで再びふりだしの宿舎案内所へ。
この3時間に及ぶわたしの頑張りを5割増しくらいに訴えてみると、ほんとしょうがない奴だなぁ、という風で紹介されたのが、同じ建物の最上階、10階にある豪華套間。日本語で言うならばスイートルーム。
いちおう見てみましたよ。
そりゃあ豪華さ、その名の通り。こんなところに泊まれるのは、北京第二外国語大学に留学、でも自らの不始末で学校にいられなくなったという、石川の伝説どら息子くらい。
値段聞いたら思った以上の一泊300元(約5000円)。しかも授業終了まで4週間分の寮費をチェックイン時に一括納入しろだって。しめておいくら?約15万円でしょう。笑いが止まりませんよ。
そもそもの話。
昨今、語言大学に留学するみなさまは、寮を予約して北京入りしているのだとか。中国語を知らない人は斡旋業者経由、それくらいの交渉能力がある人は自力でもって。
飛び込みでも余裕で空室、部屋代と設備の充実度をはかりに掛ける余裕すらのあった古き良き時代を知り、さらにインドにて「なんとかなるさ精神」に磨きをかけた者にはだいぶ生きづらい世界になったもんです。このキャンパスも。
密に群がるありのように、中国語習得という甘い香りに誘われ、こちらにやってくる人たちもこの2年で間違いなく増えているわけです。
中国語学留学生のなかにはゲームやDVDが友達となっていつの間にか授業には出なくなり、部屋に引きこもるか、国際交流そっちのけで夜通し同国人たちと遊びほうけて脱落、堕落していく人たちも少なくないんだけど、これだけ学習者の分母が増えたなら、いよいよ近い将来中国語が英語に次ぐメジャー外国語になっていくであろうこと、感じざるを得ませんな。
待ち合わせの時間到了。
どこまでもわたしにあこがれる健気なおとこ、一足早くソウル経由で北京入りしていたチャンドラバーガーズ、Takaちゃんと合流。
かくかくしかじか、わざわざバックパックを背負って待ち合わせ場所に現れた経緯を説明すると
「じゃあ『北京の家』に来ますか?」
と現在、彼がホームステイしてる宿が選択肢に浮上。
日本に留学経験のある中国人夫婦が自宅マンション内の数室を旅行者に提供していて、一泊だと150元するけれど、1ヶ月のホームステイ契約ならば、朝夜の食事付きで3000元という値段らしい。
ネットもできるし、個室だし、なにより寮生活上の最大のネック、深夜12時の門限を気にしなくていい、というのがすばらしいじゃないか。
さらに聞けば、宿の場所は市内北部、来年の北京オリンピック開催時のメーン会場、および選手村などが急ピッチで建設されてるその名も「奥運村(オリンピック村)」のすぐそば。
来年のオリンピック開催中は「北京で何かやってやろう」ともくろんでいるわたしにとっては、そういう流れに呼ばれているような気がして、とりあえず体験ステイをしてみることにしたのでした。
もういい加減、体も洗いたかったしね。
「臭、臭、ちょうですよ」
臭豆腐日記を読んだあとらしく、冗談とも本気ともつかぬ台詞も吐きすてる相変わらず年上への敬意のかけらもない男との暮らしがまた始まってしまったわけです。
by itoyamamakoto
| 2007-06-27 10:33
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