2007年 06月 04日
中九州をめいっぱい上 |
「この前、両親がこっちに来てさ、ゆで卵持ってきて。それに穴空けてちゅーちゅーやるとがおいしいっちゃ」
「なん言よっとよ。卵げなわざわざ持ってこんでん、別に珍しゅうなかろうもん」
「違うって。卵って言っても、カメの卵よ。ウミガメ。一年で今だけ、産卵したての新鮮ほやほやさ」
「わぁお!」
ここにもおりました。
野山にいきる保護動物「じいず(和名:きょん)」を食べるのが生粋の四川人、美人秘書だとしたら、こちらはわたしの元会社の同期よしはる、生粋のY久島人。海の保護動物を喰らいます。
同期連中の中では比較的おとなしそうで実は過激な赤ふん大将、世界遺産なY久島出身で、幼い頃には野山を駆け回り、気がつけば猿の大群れに囲まれてカツアゲされそうになったというエピソードの持ち主。
現在は宮崎県北部、延岡市にある会社の出張所みたいなところで職住一体、島流しのような独居生活を送っております。
そんな彼が、満面の笑みを浮かべ、
「半熟がたまらなくうまかと」
さらに
「子どもの時から学校から帰ったらまずカメの卵」
「冷蔵庫の卵おき場はもう全部カメ卵やったとよ」
そして
「たべたかろ?」
「う〜ん…」
こちらの立場表明はまだおいといて、とにかく若き日のセピア色の記憶までかき集めて絶賛するのが、この季節、屋久島の風物詩であるカメの卵。
このY久島は北太平洋有数のアカウミガメの産卵地であり、同島にある上屋久町には国際的に重要な湿地を保護する「ラムサール条約」に指定された地域もあるのだそう。
産卵のため浜辺にあがってくるカメたち、母ガメが涙を流してまで必死に産み落とした最愛の卵たちを、ネーティブY島民たちは今もって食べてるばかりか、遠方の親族を訪ねるときの土産にしているのだというから、その愛し方は驚きだよね。
そんな島で代々受け継がれている「カメ卵ちゅーちゅー」の儀式。三十を超したええおっさんがちゅーちゅーやってる姿を温かい目で見守る両親の姿、ほほえましすぎるでしょう。
社会の木鐸であるべき業界の方々だからこそ、まるでファッション感覚、うわべだけの環境保護ブームには見向きもせず、じぶんたち島民の伝統・風俗を守りつつも地球全体の活力を取り戻すようなどでかいウルトラCを考えている
そう信じております。
などと気勢をあげるほどまじめな場であるはずもなく、もうとっくにお見通しでしょうが、これらすべては酒の席でのお話。
こんなおもしろネタが最初から降って沸くとは思ってなかったけれど、「陸の孤島で訪ねてくれる者もなし。とにかく寂しがってるらしい」と聞いたことをきっかけになかば「お情け」で決めたよしはるを訪ねる旅は、とにかく度を越して長い道のりでありました。
午後1時に実家(鳥栖)を出発した3代目マイカー、とちゅう福岡県、大分県、熊本県を経て宮崎県に至るみちのりは走りも走ったり合計約250キロ。延岡に到着したのは午後6時半すぎだから、その苦労をお裾分けしてあげたいくらい。
もちろん、バスを使ったり高速使ったり、延岡にたどり着くだけだったらもっと楽な選択肢はあったわけで、あえて九州の屋根を通り抜けるルートを選んだからにはそれなりの理由もございますよ。さああ、ご覧っ!
火口から噴煙をあげる久住山(1787m)の雄大な姿と心地よいドライブ道(1)
水面からの高さは137m、国道に架かる橋では東洋一という青雲橋からの眺め(2)
世界一のカルデラの中に広がる緑の大地。阿蘇中岳(1592m)は中央奥(3)
どっかチベット的だし、どっかアメリカ的。どれをとっても日本にいることを忘れさせるシーンでしょう。
こんな絶景を拝めて、さらに日が暮れれば絶品のお話が聞けるんだから旅はやっぱり楽しいわな。
カメ話の時に
「そうよ、この辺の浜だって一緒よ。さすがに今はなかけど、昔は俺たちもくいよったもん」
とカウンターから話に乗ってきたバーのマスター。50代で現役サーファーという見た目超シブ、さらに店のゴルゴンゾーラ・ピザがあり得ないくらいにうまい。
よしはるの現地友で同業他社のEちゃん、Sちゃんだって、おいしい魚、おいしい酒のある店を紹介してもらったばかりか、さすがにここでは書けないけどそれぞれ色んな「おいた」なエピソードを披露してもらい、とにかく色んな方々から南国の長い夜を彩るには十二分な接待を提供してもらったのでした。
by itoyamamakoto
| 2007-06-04 11:04
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