2007年 05月 24日
閑人中国映画二本立て |
音沙汰なしになってたけど、別にややこしいことには巻き込まれておりません。大丈夫です(笑)。
いちおう午前中のうち「何事もなかったかのよう」にインドビザ申請終了、向こうもこちらも。そうすりゃあとは完全なオフ、連休の谷間みたいなもんで、誰にあいてもしてもらえない寂しい一日が始まってしまったのです。
んなわけで東京入りして以来、無線LANがつかえるという理由だけでお気に入りになっちゃったSeattle's Best Coffeeで「ぴあ」をめくりながら、まだまだ長い今日という一日、何をして過ごすかのひと思案。
博物館に美術館、観光地見物だっていいんだろうけど、一番の問題は長い夜をどう過ごすか。
一人で飲み屋に入れないという悲しい性を持つ男に優しいのは、やっぱ夜遅くまで身寄りのない無国籍男をかくまってくれる映画館という結論に落ち着きました。
ならば、
最近元気がいいらしい日本映画にするかい?
やっぱり劇場で見るならわいわいにぎやかな欧米?
それとも、JNU電影隊としては日本でもインド映画?
事前情報もなんもない映画に「飛び込み」で挑戦するのも楽しいんだけど、いったいこの東京近辺で何十作の映画が上映されているのか。ページをめくればめくるほど、アトランダムにだってそうは簡単に選び出せないほど、色んな映画があふれてらっしゃる。
というわけで、逆に少なすぎて目についた中国映画に決定。
JR東中野駅前にある「ぽれぽれ」というミニシアターで上映されていた「胡同哀歌」「ニーハオ鄧小平」の2作品。
「胡同哀歌」の方は、北京の町の片隅で近代化、経済発展の波に取り残されながらも、色んな苦難を乗り越えながらくらす父子の生活を描いた作品。
父親役の範偉(ファン・ウェイ)っていう小太りの役者は、どっかで見たことあるなぁ、って思ってたら中国流漫才「相声」界ではかなり名の知れた芸人さんなのだそう。
芸人さんが役者としてもすばらしい演技をするというのは洋の東西を問わずに共通したことなんだろうし、じっさい間の取り方とか表情は「うむむ」といわせるもんです。
しかし、
いかんせん、
モントリオールかどっかの映画祭でいい評価もらった作品らしいんだけど、ストーリーにひねりがない。たんなる胡同の生活風景を紹介して、登場人物に辛いエピソードをどんどん押しつけるだけ。お涙をちょうだいするだけの内容になっていませんでしょうか。
ついでにいうと、音楽もちゃちすぎる。
話の筋が盛り上がってきた時に数回、進軍マーチのような音楽をならされても…
これまで映画音楽についちゃあまり気にならなかったんだけど、これもさいきんボリウッド映画をみてきた影響か。盛り上げたいところで盛り上げられないばかりか、逆に興ざめしてしまうからさあ、たいへん。
最近の芸諜(チャン・イーモー)や陳凱歌(チェン・カイコー)の映画のように、にぎやか全盛、観客の琴線をいぢることなどお構いなしってのもどうかと思うけど、ここまで時代を意識しない中国映画ってのも評価に困ってしまいました。
でもってもう一本は中国近代化の偉大なる指導者、鄧小平氏の記録映画。
物心ついた(=中国に興味もった)ときにはすでに鄧同志は生けるしかばねというか、物言わぬ領導だったわけだし、ようやく中国語が分かるようになった今、あの偉大なる指導者がどんなことしゃべって、どんな動きをしていたのか、新聞や教科書では分からない動画ならではの楽しみ。興味は尽んでしょう。
たとえばりばりの共産党の宣伝映画であろうと、その中から真実の部分を抜き取れるくらいの中国的経験値はもう積んできたはずだし。
そういう姿勢で見守った約90分。
にしても、初めて鄧小平の肉声を聞いたんだけど、いやあ、すごいね。あそこまでのズーズー四川弁、成都にいたって聞いたことないよ。
「ウォスーズーベンレン(私は日本人です)」
くらいのなまり方なら、四川の大学ならば普通語(標準中国語)のクラスの先生でも惜しげもなく披露してくれるんだけど、
「如果(ズーグオ)」
ってのは初めて聞いたよ。
あんな言葉を国家首脳が公の場でしゃべってた時代、特に外国の要人と会談するときなんか、通訳は大変だったろうなあ。妙に四川人が四川弁にプライドを持ってるのも、四川弁が全国的に高い地位をもっていた当時の名残なのかなぁ、なんてことも感じてしまう楽しい時間だったような気もします。
まあ、劇場で見るほどではかなったかな、というのが総評でしょうか(笑)。
よく考えたら中国(大陸)映画について日記書いたのって、2年前のクリスマスに見た高倉健さん主演の「単騎千里走」以来の超おひさ。
韓流の亜流みたいな感じで、日本でも「華流」のはやる兆しがあるとか、ないとか。
もちろん、そんなおしゃれなところでわたしの知るところはないわけだけど、中国映画だったら、新旧の北京の生活を含めて興味があるんだったら、以下の三本はわたし的にオススメ。たぶん日本のレンタル屋さんにもあることでしょう。よかったらご参照を。
左から
1)太陽の少年(原題:陽光燦爛的日子)1994年/監督:姜文
2)キープ・クール(原題:有話好好説)1997年/監督:張芸諜
3)北京ヴァイオリン(原題:和你在一起)2002年/監督:陳凱歌
by itoyamamakoto
| 2007-05-24 13:13
| 他にもまだこんなこと