2007年 03月 20日
反省+疲労<感動+酒 |
突然の暴風雨にたたられ、予定より早く店じまいせざるを得なかった昨晩の日本食屋台。
閉店間際まで絶えることなく「想定外」が発生してくれたおかげさま、売り上げなんか当初計画(Rs.9500)の半分にも満たなかったわけだけど、日付が変わればそんなんもうかんぜんにセピア色の昔話でしょう。
スコールあとはいつだって快晴。気分一新、すかっといきますばい!
…とは問屋が卸さない。
われらがJawaharlal Nehru大学(JNU)上空にはまだもって梅雨前線が停滞してるようで、本日のキーワードも昨日に引き続いて日本語科のワリオこと、日本食部門最高責任者たるDJ。今しばらく、梅雨末期のじっとり感をお楽しみください。
午前11時から販売開始予定の焼き鳥用鶏肉を当日午前8時になって肉屋に手配する男。「食材の新鮮さにそこまで命を懸けるか」と改めてわたしを驚かせてくれました。
もちろんそんな彼のサービス精神はベジタリアン用メニューである天ぷら(具材4種類)にも惜しみなく注がれます。
「ピーマンとパニール(インドチーズ)を2個ずつ天ぷらにして売りましょう」
とわたしに対して積極的なご提案。
「おっ、とうとうDJに秘策登場か」
とにわかに盛り上がり始めるわたし。売り上げアップにつながる何かが隠されてるに違いない
…はずもない。
実は昨晩、雨を避けるため屋内に運び込んだナスとジャガイモをそのまま大鍋の中で水につけたまま放置しちゃったため、今朝にはもう腐って使えなくなっていたというだけのこと。
どす黒くよどんだナスとジャガイモからは確かにいやぁな臭い。衛生観念に対しても大らかさがウリのインド人とはいえ、これはちょっと「無理でしょう」なレベル。
冷蔵庫を使うとか氷のボックスを準備するとか、いくらでも腐敗を防ぐ方策はあったはずなのに、けっして誰の指示不足で大切な野菜がダメになったのか、なんて全く考えるそぶりはなし。
試食の時、わたしがそのコンセプトを紹介した「料理を色でも楽しんでもらう日本食の心(こだわり)」についてはなにをか況や。
とにかく、今の状況を切り抜けるために編み出された方策こそが「パニールとピーマンのダブル攻撃」。
いったんその「切り捨てアイデア」にとらわれちゃうと、さらなる展開、別に保管していたピーマンですら「もう使えない」と女子学生たちに攻め寄られるという、絶体絶命のピンチに追い込まれたとしても、堂々としたもんです。
「パニールを4つ出して売りましょう」
(パニール4つの天ぷら?どのへんに「日本」が残ってるわけ?)
(もう「行き着くとこまで行っちゃえ」ってこと?)
(本日のあなた、まるで新時代の前衛料理家か、敗戦直前に国家総動員令発動の参謀本部だよ)
「これだったらインド人は大好きですね」
「そうかもしれないね」
あ〜ぁ。責任感の伴わない変わり身の早さってのは何の取り柄にもならんな
なんて思おうかとしたんだけど、そんなことはもうどうでもよくなっちゃったのよね。
だってDJさん…
またすぐに失踪してくれましたから(笑)。
ということで、本日はBUNKASAIの別イベント出演のため夕方まで現場に顔を出せない販売責任者アルウィンに丸投げすることもできなくなり、仕方なくわたしがスタッフにピーマンを買ってきてくれるよう指示、火おこしも指導。
ほんとはすっごい緊急事態なんだろうけど、いつの間にか真夏への秒読みスタート、日中の気温が30度を超えるようになっているここデリー。
もともと人通り皆無な場所であることに加え、これほどかんかん照りの屋外に足を運ぶようなお客さんは多くて数十人だろうってことも昨日の経験からほぼ予測できたのが、まあ「地獄に仏」かも。わたしもまた授業(1時間)のため、後ろ髪を引かれながらも現場を去ることに。
そして誰も責任者のいなくなった現場。それでもなんとかなるというこの国のお国柄、まさにインド的混沌ここに極まれり…
ということで、重箱の隅をつつくようないじわる小姑役はここにて終了。
どうしてもこうもマイナスポイントばかりに目がいっちゃうんでしょう。まったく神経質な日本人の困ったところやね。
ここまで大がかりなイベントになっちゃって、それにインド人と共同作業するのなんて初めてなんだから、色んな「不思議ちゃん」に遭遇することなど自明の理のはずなのに、そこんとこを忘れたらもう楽しめるもんだって楽しめなくなるでしょうよ、と自省の弁。
今回は縁あってDJさんとパートナーをくんだから、DJプロデュースの面白ネタを体験させてもらっただけのこと。
これまた別のインド人学生とタッグを組んだとしたら、別系統の「???」をたくさん提供してもらったことでしょう。これも一期一会ってもんですよ。
えっ?二度目はもういらないのかって(笑)
イベントのゴールも見えてきた2日目夕方。
ここまでかんぜんに日本食屋台に張り付きっぱなしだったこともあり、
「いかん、こんままじゃホントに愚痴だけの日記しか書けん」
という危機感も募りはじめ、さらに夕立が早めに訪れたことも後押ししてくれたんで、他のイベント会場も駆け足で回ってみました。
日本語劇、ファッションショー、二人羽織、日本のハシを使ったゲーム、映画上映(座頭市、千と千尋の神隠し、七人の侍)、折り紙教室、生け花教室…
と様々なイベントが用意された今回のBUNKASAI。
JNUの日本語科学生以外にもデリー市内の日本語学校の学生、さらにはJNU日本人留学生たちの献身的な参加があって、なんとか2日間の日程をつつがなく終えようとしておりました。
そして、最後を華々しくしめるのは大盆踊り大会&スペシャルDJナイト。
もちろんうちらの失踪DJではごいざいませんで、デリー市内にあるヒンディー語学校「サンスターン」に留学する元プロDJ、オサムくん(もっこす)の出番。
彼がデリーの星空の下、日本のクラブ空間を再現してくれるというすてきな夜。
日本食部門もなんとかメニュー売り切れ終了に「当確マーク」がついたその瞬間から、わたしの気持ちも「お祭りモード」にギアチェンジでしょう。
買い出しのために校外の酒屋を2往復してビール15本を調達。
保温のために氷屋への寄り道も忘れず、さらに寮では自らのエネルギー補給とあわただしくかけ回り、再び会場に戻ってきたときにはすでにオレンジダイキリ、ビール、日本酒、ウイスキーで「ほろ酔いをちょっとこえたくらい」とは本人の弁。
あとは心地よい音楽を聴きながら、好みの音楽がなり始めた瞬間から性格が一変したかのように舞台中央に走り出し、夢中になって踊り出すインド人を眺めながら、体を支配する疲労と充実感がアルコールに吸い込まれていくのを感じていればよいだけ。
ここまできちゃえば、ハッピーエンドにならざるをえないでしょう。
DJとも乾杯。
アルウィンとも乾杯。
屋台現場をいちばん手伝ってくれた日本語科3年生たちとも乾杯。
そして、おのおのの持ち場で精も根を使い果たし、「生けるボロぞうきん」のようになってるチャンドラバーガーズとも美酒をかわして、2日間のイベントは幕を閉じたのでした。
※結局のところの売り上げ(2日間)
焼き鳥305本/Rs.4575
天ぷら187皿/Rs.2805
茶(ジュース)151杯/Rs.755
合計 Rs.8135
はい、赤字です。どれくらいかって? 恐ろしくて言えませんし、知りたくもないんですが、とにかく皆さん、ご理解とご協力よろしくお願いしますね(陳謝)。
by itoyamamakoto
| 2007-03-20 20:18
| いろんな交流してます