2007年 03月 18日
タレ臭い男のぶータレ |
たとえばこんなこと。
「買い出し、下準備を二度手間かけるより、一度に2日分の30キロを買って冷蔵庫で保管すればいいと思うんだよね」
鶏肉30キロといえば焼き鳥約600本分。
1月にひらかれたJawaharlal Nehru大学(JNU)のフードフェスティバルでは日本人チーム、2時間で15キロ(300本)を売り上げた実績を踏まえ、BUNKASAI期間の昼夜昼夜4回の営業時間計14時間では600本を売り上げるのは間違いない、と思って販売見込みをたてておりました。
もちろん、学生に無駄な労力は使わせないためのアイデアでもあったわけでして。
ところが、
「鶏肉は売れ残るといけないから一日ごとに15キロずつ購入しなさい」
と昨晩になって言ってきたイベントみかじめの某先生。
はい、屋外テント設置場所申請を本番前日4日前に行って、見事、使用許可は下りず、我々の当初プランにけちをつけていただいた先生ですな。
場所が人通りの少ない裏の方に変わったことで不安になったのか、売れ残りまで心配していただけるようになりまして(笑)
ちなみにこの先生、申請却下の前日には、「焼き鳥と天ぷらの2品では不十分ね。『うどん』も作った方がいいんじゃない」とおっしゃってた方と同一人物のはずなのですが…
提案型と命令型であれば、かならず「命令型」を選択してしまうのは、果たしてインド人的な性向なんだろうね。
先生から直接指令を受けたフード部門学生側担当者のDJ、いちおうはわたしにも相談してきましたよ。
「でもさ、やっぱ30キロ買っとこうよ。そのうち15キロは『itoyamaが買った』ということにして、さ。もちろん、どちらも下準備はしておいてもらうけど、これだったら2度買い行く手間もいらないでしょ。で、最初の15キロ売り切れたら、わたしの持ってる15キロをそっちに『同価で販売する』ってことにすればいいんじゃない」
って、無い知恵を絞って、先生のメンツも立てられるような「提案」までしてたのに。で、納得してもらったと思ってたのに…
本日夕方になって、
「makotoさん、学生たちが鶏肉を買いに行きました。その後の作業、あなたの部屋でしてもいいですか」
っていうから、「ああ、いいよ」と答え、部屋で待っていると、学生たちが重そうに巨大ビニール袋を引きずって買ってきた肉は15キロ。
「あれ?けっきょく15キロなの?」
「はい、先生が15キロ買うように言いました」
だって。
「じゃあ、みんな、また明日も買いに行くんだね。DJには『30キロ買った方がいいよ』って言ってたんだけど」
「でも、先生の命令ですから…」
うん、そうですか。
これは昨年の「日本語スピーチコンテスト」でも経験しました。
参加学生と一緒になって考え、推敲したはずの原稿なのに、本番になって聞いてみれば、あれれ??? 先生、先輩がたのご指摘、ご意見に書き換わっていらっしゃること。もちろんわたしの存知知らぬところで。
インド人社会ってのは、決して効率至上主義には毒されない、わたしたちが見えない色んなしがらみでもって「支え合って」生きているみたいですな。
インドにきた外国人のステレオタイプな色眼鏡をかけるなら、
命令慣れしている→自分の考えを持つ必要がない
自分の考えを持つ必要がない→結果責任からも免れる→命令大歓迎
鶏が先か卵が先か、の議論じゃないけれど、こんな展開だったら自己の判断力、責任感の成長を抑制してしまう完全な悪循環に思えてしまうんだよ、ねぇ。
もちろん、わたしのこうした経験は単なる偶然、というかこちらサイドの思い上がりなのかもしれませぬ。
売れ残りを出さない最善の方策は仕入れを2度にわけることだし、スピーチ原稿の手直しも更によい文章に仕上がっていたのかもしれないのですよ。
鶏肉部隊に部屋を明け渡して約4時間後。
焼き鳥用のタレと天ぷらのつゆの合計ペットボトル10本、約20リットルを煮詰めあげるという、大鍋との記憶に残る格闘生活にもピリオドをうち、全身から甘辛〜い醤油臭漂ういい男になって帰ってきたマイルーム。
そんな純和風のテーストを軽〜く吹き飛ばしてくれた我が部屋の惨状といったら…
鶏の血、肉汁で床はびしょびしょ。串に刺さされたままの肉塊も何個かその場に放置されてたり。当然生臭いにおいが充満しております。お菓子の袋やチャイのカップもそのまま。
まるで、空き巣が人の家に入って金品かき集めてたら家主が帰ってきたんで、ブツだけかき集めて急いで逃げたような後処理。こんなんじゃすぐに捜査員に捕まってしまいますよ、気をつけてくださいね。
っていうか、
「地上げ屋かYAKUZAのいやがらせかっ(笑)!」
まあ、とにかく。
本文化祭のテーマは「絆(KIZUNA)」でありますが、インド人の方々の上下関係の絆はすでにびしびし感じております。できれば横方向の絆もみてみたいな、と。でもって、まだまだこちらも精進が足りませんが、できればわたしもその一列に加えていただけたらな、と。
さあてBUNKASAIはいよいよスタート。本番に超強いインド人のミラクルの波にもまれてまいりましょうか。
by itoyamamakoto
| 2007-03-18 12:34
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