2007年 02月 25日
パティはジャングルで |
我々チャンドラバーガ日本人留学生組が手塩にかけて教育、前代未聞の合格者数を出した日本語能力試験2級の対策講座「打倒2級!めざせ全員合格!日本語能力試験超インテンシブコース」(略称:日本語授業)終了生たちのご恩返しはまだまだ続く。
というか、先日のお食事会は始まりの序章にしかすぎませんよ。
だって…、酒なかったじゃん。
本日は日曜日、だからして昼間っからお酒にどっぷりつかったバーベキュー・パティしたってOK牧場。
そもそも対策講座の受講生たる3年生連中には昨年11月、
「おまえらなぁ、男ばっかと飲んで何が楽しい。きれいどころも集めた飲み会を設定しろっ!じゃないと俺は次からもう来んからなっ」
というCBsYによるきついお達しがあったこともこれありで、試験が終わった12月以降、寝業師・阿比熱可君(阿君)が何度となくわたしの部屋を訪れては、
「先生たちはいつ、お時間ありますか」
とご相談。そして先週末になってようやく、
「日曜日ならば女の子3人用意(!?)できます。これならY二郎先生も大丈夫でしょうか」
などと調整に調整を重ねた上でのBBQパティ。ホントすまんね、日本人の中にたちの悪いのがまぎれ込んでて(笑)。
で、もう一つ我々が阿君たちにお願いしていたのが、そのパティの開催場所。
われらがJAWAHARLAL NEHRU UNIVERSITY(JNU)がほこるジャングル、デリーで唯一、野生のニールガイ(青牛、体高約2m)が生息するというから、ちょっとやそっとの「ジャングル」じゃなくてモノホンのジャングル。
たぶん福岡ドームが数個は入るような広大な緑、その深奥に先史時代の壁画も残る(かもしれない)ようなCAVE(洞窟)があると聞いたのは、かれこれ先学期のこと。
案内人がいなけりゃ決してたどり着けないような場所にCAVEがあって、そこで誰の目を気にすることもなく思いきり飲んで騒げるような野外パティが開けたら…
もう考えただけでわくわくするじゃない。
そんな念願がとうとう叶う日がきちゃったのね。
ところが本日、出発前になって急に
「ジャングルには人肉を食べるアゴ・ホリ・ババ(≒変なおっちゃん?)がいるから気をつけて」
「毒ヘビも活発に動き出してるからかまれないように」
「歩いたら1時間から1時間半はかかる。今からだと暗くなる前に帰ってこれない」
などなど、脅しの言葉を連発するのは日本語科修士課程2年の蘇連独楽君(蘇君)。まるで本人、今日は話の主役でもなんでもなく、登場機会がここだけしかない端役なのを分かっているかのような放言三昧。
「あなたは伝説と共に生きる中世の農民階級ですか」といいたくなる衝動をなんとか押さえ、ちゃんと本日も登場させてあげましたよ、これで満足していただけたでしょうか。
で、実際のところどうだったのかっていうと、
2級合格者に「がんばったさん」も含めた3年生10数人と一緒に最寄りの舗装道からブッシュの方に歩き始め、何度かとげのある草木に行く手を阻まれながらも約10分、岩山に囲まれた半洞窟(くぼ地)っぽいところにたどり着き、そこで絵心のないアホ学生が書いたのであろう壁画も発見したのでした。
あら、あっけないものなのね。
本当の洞窟はさらに緑に囲まれた岩山の反対側らしいんだけど、ここでも十分よさげな「隠れ家」ポイント。半ズボンはいてハナ垂らして遊び回っていた頃ならば、間違いなく「秘密基地」にしたいようなおしゃれな場所。
でも、こんな最高なロケーションなのにインド人たちの心には全く響かないらしく、
「あと5分行けばもっといいところがある」
と半ば強制に行軍は続き、結局、洞窟も何もないだだっ広い丘の高台に荷物を下ろしたのでした。
まあ、そんなことはよろしゅうござんす。
あとはこっちのペースで若人たちの度肝を抜きましょうか。
まずは、この日のために購入してたオニューなバーベキューコンロ(650ルピー≒1800円)を披露。
これで先のフードフェスティバルで伝説となった「やきとり(YAKITORI)」を思う存分焼きあげましょう。さらに、わたしら彼らの前では「せんせい」として通っておりますから、日本文化の紹介も忘れません。
こんなめでたい席には日本人はタイを食べて祝うのだと、フエダイ(Red Snapper)の尾頭付きが登場。
体長約30センチ、1キロ超のボリューム。
やっぱり炭火でこんがり仕上げた塩焼きはうまい。
そりゃ分かってる。
ライムなんかを搾ったらもう、ほっぺが落ちそう。
それも分かってる。
でも驚いたことに、香辛料効かせまくったり、油ぎとぎとに使いまくったり、砂糖ばんばん投じまくったりした濃厚インド料理にしか味覚が働かないんだとばかり思っていた学生連中、日本のわびさびを凝縮したような限りなくシンプルな塩焼きの味にもちゃんと反応できるのね。
うれしいことにかむに連れて味わいを増す淡泊な白身のおいしさが伝わったようで、はじめは遠慮がち、かつハシを使って食べてたんだけど、いつの間にか、カレー食うときと一緒、直手で骨周りの白身まできっちり食べておりました。
いやあ、めでたい、めでタイ。そしてそれが先生にはうれしいっタイ!
日ごろは非常に優等生ぶっているJNUの学生さんたちだけど、酒が入れば、かなり本音をストレートに出してくれるのは先の飲み会と同じ。
うまい具合に心の障壁が取り除かれ、年の差、国籍を乗り越えた心と心の会話がジャングルの中に響き渡っていくのがこちらとしても快感なのね。
でも、本日はさらなる歓迎すべき不確定要素もありました。それは初参戦となる女性軍から。
3年生の中ではかなり異色な存在、中国籍のたぶん朝鮮族なのになぜかインドの大学で日本語を勉強している、コニーさんの独壇場。
父親が大使館関係者だからインドの大学で学んでいるというエリート説がありながら、お兄様が「Yang2rou4chuan4(羊肉串)」を売っているという庶民派情報もありつつ。実際彼女が我々を差しおいて先導してくれた炭の火付け、おき火の作り具合などは「お嬢」のかけらなどさらさらな玄人はだし。
そんなこまごまとした作業を率先してこなしながらも、フエダイが焼き上がったときには、食べやすい背中の肉に群がるインド人を尻目にハラの一番おいしい部分をごっそり持っていくという、さすがグルメには妥協なき中国人。
さらに存在感を増したのは、
「コニーさんはお酒だいじょうぶなの?」
といういっけん紳士気取りの無防備Y二郎氏の質問に対し、
「ビールだとおなかいっぱいになりますから」
という、その意味を知る中国生活経験者には恐ろしくて身震いするような回答を聞いたとき。
(こりゃぁ、Y二郎とは器が違うわい)
と思っていたらその通り、数十分後にはアルコール度数40数度のウオツカによる「中国式干杯(杯を干す)」攻撃をもろ受けて、ジャングルの大地に無様にその身を投げ出すY二郎の姿。そして攻撃の的を同級生インド人たちに変え、獲物を品定めするコニーのピンクジーンズ。
うん、酒席では彼女と仲良くしとこう
改めてそう感じた次第。
だから、
「makoto老師、イ尓有没有日本電視劇?」(先生、日本のドラマ何かもってます?)
と聞かれれば、
「現在没有。但是5月時、我打算去中国。那時、イ尓要什麼、我会買什麼」(今はないけど5月には中国に行くし、なんか欲しいものあれば買ってくるよ)
と答えておきました。どう見てもご機嫌をうかがっとく方が良さそうな雰囲気だったものですから(笑)。
そんな新たな逸材の発見もありつつ、ほぼみんなベロベロもしくは心理的ハイテンションになっていただいたBBQパティ。
最後はやっぱり日本らしく一本締めでしめましょうか、と大地から復活したY二郎さんに音頭をとらせれば、さすが団体行動超苦手なインド人連中。
相当入念に説明したのに、
「よお〜ぉ」
「ぱぱん。ぱん…、ぱん。」
ぜんぜん調子を合わせられないみんな。もうぐたぐた。日没も近いことだし、あとは寮に帰って寝ましょうね(笑)
by itoyamamakoto
| 2007-02-25 04:18
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