2007年 01月 04日
ならば天国の本丸突入 |
アンダマン入り初日の昨日、天国にはめぐりあえませんでした。
いかんせん、「爆睡お昼寝」をかましてしまったがための自爆。行動時間が正味2時間くらいじゃ、「エビカレー」にそのかけらは感じても、波止場のよどんだ重油色の海みたいに暗く重く
「おいおい、ほんと、大丈夫だろうなぁ」
てな具合、働いてた頃、翌日の朝イチ仕事を前に夜明けの歓楽街をとぼとぼ家まで歩いて帰ってたときのような気持ちになる。
わたしはアンダマンに完全なる「laid-back(くつろぎ、ふぬけ状態)」を求め、はるばる千里の海を越えてやってきたんではなかったのか
新学期の科目登録を遅らせる手続きをとってまで勝ち得たこの「一週間で現世復帰確約、アンダマン天国試し見ツアー」に失敗は許されんのだぞ
もちろん、この首都ポート・ブレア(Port Blair)に落ち着くつもりなど毛頭ないわけで、当初の予定どおり、自分を信じて更に島に駒を進めます。
こっから北に約55キロ、4時間の船旅にてめざすは「North Havelock(ハベロック島)」。白砂青松を更にレベルアップさせた白砂緑椰子の世界をただただ求めて…
午前6時半出航。
相変わらず船の中にはインド人家族連れの姿でほぼ満席。船中いたるところを徘徊しても外国人はひとりだけ。
「あんたらいったい何やってる人たち?ハベロックなんて1泊2日で行くようなとこじゃないでしょ。金はあるにしても、この時期、そんな長めの休みとれるご身分ナンすっか」
天国だろうが地獄だろうがインドにいるかぎりインド人のない世界はないんだな
とまたしても宿争奪戦の心づもりをせねばならないわたしなのでした。
ところでこのボート、インドでは珍しい料金設定をしていて、観光客は150ルピーか200ルピー。対して地元民は18ルピーか23ルピー。
「何が珍しい。外国人料金なんてインドどこでも当たり前じゃないか?」
ちょっと、先走りはいかなるときも禁物ですよ。
観光客は一律、地元民の約10倍。もっと正確に書くならば、「外人だろうとインド人だろうと金持ちは地元島民の10倍」を払わなければならないということ。
これまで外国人だけに限られていた「ぼったくり料金」の網が国内富裕層にもかぶせられるという、この「ざまあみろ」と思わなくもない傾向。
ここは飛行機で往復数百ドルを払って飛べるような本当の金持ちしか来れない場所だからできたような話。内地の場合、まだいろんな観光客(巡礼客)がごったになって押し寄せるだけに、こうした大胆な仕分けは不可能に近かろうというもの。それと政府直轄地だけに試験的な制度も導入しやすかったのかも。
とにかく、
観光客だろうが地元民だろうがみんなに安く使ってもらおう
という姿勢からはかけ離れつつあることだけははっきりしてるわけです。
4時間は本当に4時間でハベロック北にある波止場に到着。
一気に水深が浅くなり、底の砂が見えるようになった時、天国に来たことがはっきりと確認されました。
わたくし三十路男、恥ずかしながらエメラルドグリーンの桃源郷にやってきてしまいました。
曇りがちだった天気まで、お日さんが直射日光放つようになって舞台効果ばっちり。
下船時に警察に滞在許可証をチェックされるのがちょっと興ざめだったけれど、それも歩き始めればすでに2000年問題くらいに過去のお話。
ここハベロック島ではビーチや集落に番号が打ってあり、最北にある波止場から東側の海岸線に沿ってNo.1からNo.5まで、さらに島西側で再びNo.6〜という具合。
こういうところで泊まる宿といえばリゾートホテルからバンガローに至るまでとにかくビーチ沿いに点在しておりまして、だから浜辺を歩いてれば、宿探しもできるって寸法。
そ・れ・に・し・て・も
海が汚れてないのはもう十分に分かった。
プラス
じぇんじぇん人がおらんじゃありませんか(喜)
波打ち際を3キロほど南に下り、その間、見かけたリゾート客20〜30人。
つまり100mにひとりくらいの遭遇率。ゴアやカーニャクマリの「巨大芋の子洗濯機」状態を知る男は、東インド極みのこの地にて、自分の選択が間違いなかったことを確信し、涙にむせいだのでした。
歩いているだけでも嬉しくなるハベロックのビーチ。
No.5ビーチの更に最南までたどり着いてしまい、そこにあったバンガローに投宿。
波打ち際から一歩入ったヤシの木の木陰に点在するバンガローは約10棟。滞在客は西洋人だけ。チェックインの際、
「うちは島イチの料理出しますから」
聞きもしないのに答えてくれた、ちゃんとした英語を話す料理長兼マネージャー。
「じゃあ、ちょっとメニュー見せてよ」
「決まったメニューはありません。基本魚料理ですから、その日の仕入れにあわせて夕方にはホワイトボードにその日のメニューを出します」
その自信、今のわたしならインド人をもう一度信じてみようって気にもなります。
そして一気に陽もくれて、
「マグロのステーキ」(Rs.200)をば。
表面を香ばしく、中心部にレアを残した焼き加減、オリーブオイルやタイム、オレガノ、胡椒などの香辛料のバランスも絶妙。これはどう考えても「南欧レストラン」で出されるべき料理。こんなところで遭遇しようとは…
魚食い民族の末裔として、回転寿司屋なんかではやった「炙り系」の何倍もまともであること、認めざるを得ませんでした。
食事中、客を邪魔しない程度に各テーブルに挨拶に回る料理長。
「いやぁ、完全に予想裏切られました」
「満足いただいて光栄です。明日もお楽しみに」
最後まで何たる紳士、この料理長。
見た目は小顔(典型的インド人)なのに…
天国の本丸、ハベロック島。今のところ、全ては予想以上でございます。
by itoyamamakoto
| 2007-01-04 16:04
| またまた旅に出ました