2006年 11月 14日
篠崎さん失踪の続報1 |
日本人学生 9月5日にアグラのホテルで確認
【11月14日=The Indian Express】 New Delhi:デリー市警察当局は、首都デリー空港到着(9月3日)後行方不明になっている日本人学生篠崎耕太さんの捜索において大きな進展を迎えた。捜査担当者によれば、耕太さん(21)はパッケージツアーに参加しており、9月5日にはアグラのホテルに姿を現していた。
空港警察が、「学生にジャイプル、アグラ、バラナシ、カルカッタを15日間でまわるツアーを組んだ」という旅行代理店関係者の証言を得たのがきっかけ。篠崎さんが東京からキャセイ航空のフライト便に乗って早朝デリーに到着したことは空港の入国記録で確認されており、その後100ドルをインドルピーに両替している。さらに空港で、旅行会社「Gole Marked-based Overseas Tours」と接触したとみられる。「篠崎さんはその会社のサービスで3日の8時ごろにTaTa社のIndica(車)を手配、同日午後にはジャイプルに到着した」と警察高官は説明する。
旅行代理店はジャイプルのHoetel Ghoonghatに予約を入れ、篠崎さんはそのホテルに2泊して市内観光をしたという。
9月5日朝、篠崎さんはアグラに向けて出発した。「代理店の説明によれば、篠崎さが乗った車は午後3時ごろアグラに到着、そのままタージ・マハルの観光に向かった」と同官。
タージマハル観光を終えた篠崎さんは午後5次半ごろ、Chanakyaというホテルにチェックインしたものの、一時間後、彼はリュックとともにホテルを離れ、そのまま戻ってこなかったという。
篠崎さんの失踪について旅行代理店は報告を怠ったため、地元警察もその情報は把握していなかった。その後の警察の捜査によれば、翌日のバラナシ行きの鉄道切符が篠崎さんの名前で予約されていた。
アグラの警察当局は市内で捜索にあたったものの、篠崎さんの痕跡を見つけるにはいたらず、同局は「我々は日本の大使館係者に連絡を入れた」と説明した。
東京で経済学を専攻する篠崎さんは、9月23日に日本帰国予定で、さらに帰国用航空券の有効期限は10月2日までだった。両親は9月下旬に外務省に相談し、同省がデリーの日本大使館に連絡。同大使館は10月17日、チャナキャプリにある警察署に問い合わせた。篠崎さんの両親は息子の捜索のために先月デリーを訪れ、すでに帰国しているという。
警察当局による篠崎さんのツアー日程
9月3日:
キャセイ航空のフライトで午前2時半ごろ、デリーに到着。旅行代理店と接触/20000ルピー(約5万4000円)でツアーを設定、午前8時には手配した車でジャイプルに向けて出発/午後遅くにジャイプル到着。5日まで同都市に滞在。
9月5日:同じ車でアグラに出発。到着後はその足でタージマハルを観光/午後5時半ごろ、Hotel Chanakyaにチェックイン。約1時間後に行き先を誰に告げることもなくホテルを後に1/ツアー業者は篠崎さんの失踪を警察に報告せず。篠崎さんは6日に列車でバラナシに向かう予定だった。
【評】
9月にインドで行方不明になった日本人大学生篠崎耕太さんについての続報です。
親族や友人らによるホームページ(HP)も事態の進展にともなって内容が刷新されています。ぜひそちらもあわせて訪ねてみてください。
今回の新聞記事とHPによる情報では、重要な部分で内容の食い違いもあります。
一つ目は15日間のツアーを組んだ旅行代理店との接触はデリー空港(記事)だったのか、ニューデリー駅前(HP)だったのか。
2つ目はアグラのホテルを出た時、つまり最後の目撃情報について。記事では同行者については何も触れられず。一方でHPにはホテル従業員が「運転手と他の男性3名と外出する耕太君を見た」という証言。
いずれにしても現在のインド旅行における悪名三大キーワード「デリー空港」「ニューデリー駅前」「アグラ」がそろいもそろって超重要情報として捜査線上に残ってしまったということになります。
数年前の日本人旅行者殺人事件の記憶も新しいデリー空港。
なぜか日本からのフライトだと深夜に到着する便が多く、不安に駆られた日本人が、インド入国直後から悪徳業者の魔の手にさらわれるケースは後を絶たず。
同じく、まともなり旅行代理店を探す方が難しいとされるニューデリー駅前。
もうその伝統はすでに四半世紀。「ハロー、マイフレンド。カシミールに行かないか」という言葉で、何人の日本人がシュリナガルの湖の上でハウスボートに監禁されたことでしょう。
そして、悪徳商法のメッカ、アグラ。
たしかにタージ・マハルはインド一の観光地。でも旅行者につきまとう人の質の悪さもインドでは突出。現地観光自体でホテル代やガイド代などをぼったくってくる奴らから、3流以下の品質の宝石や絨毯などを「日本で売ればぼろ儲けできる」と口数巧みに近寄ってくる奴らまで。彼らにとって外国人旅行者は人格も家族もないただの札束にしか見えていません。
今回、新聞記事では旅行代理店やホテル名が公表されてますが、そんなものはすぐに変更できます。だから本当の悪い奴らにとっては何のダメージにもならず。
これから観光政策の充実を進めていこうとしているインド側政府ですが、「旅人から甘い汁を吸いつくしてやろう」としている奴らの「職場環境」については、かれこれ十年以上、改善された部分を確認することができません。本当に何も。
今回の捜査にしたって、その経緯では旅人にすり寄るいろんな「危険」を再確認できたはず。それを吸い上げ、再発防止につなげる抜本的な取り組みもまた、篠崎さん個人の捜査とともに、早急に求められているはずです。
今も毎日、腹を空かせたオオカミたちの中に羊たちが放り込まれているのですから。
で、今回のインディアン・エクスプレスの記事は独家報道(特ダネ)。少なくともいつもお世話になってる主要2紙(THE TIMES OF INDIA/THE HINDU)には影も形もありませんでした。
このインディアン・エクスプレスは日頃から独自の視点で書かれた記事が多くて見逃せない訳ですが、篠崎さんの両親による会見が開かれてからもからかれこれ2週間。
何か事態に進展があったのではないか
そういうアンテナを張り続けていたってことは記者の脳みそが柔軟で機動性も高いということの現れでしょう。新しい情報が分かったら分かったぶんだけ地元のインド人にこそ読んでもらい、捜査解決につなげていきたいというのが篠崎さんの関係者、捜査関係者、そのほかみんなの願いなんですから。さらに続報が伝えられることにも期待して★★★★☆
by itoyamamakoto
| 2006-11-14 16:49
| これは面白ニュース!?