2005年 08月 01日
キングはやはりキング |
台湾です。
台北です。
9年7カ月ぶりのぶりぶりです。
福岡からは正味2時間。
ビールをちびちびやりながら、機内食(ここでも牛肉飯)を食べてたら、追加で赤ワインを頼む間もなく、機体は着陸体勢に入り始めてしまいました。
ここで大金を台湾元に換えてしまって、町中間で行ったときに一般銀行との両替率の違いに後悔するのはやだなー
びくつきながら空港で両替をするのも海外旅行の醍醐味。
たかが100円200円の違いしかないんですけれど。
さっき約10年ぶりって書いたけど、厳密には1995年10月から2ヶ月間、まだ今ほどは注目を集めてなかったメコン河流域の国々を旅行して、最後に日本から訪れた家族とおとそを飲んだのがここ台湾。
雲南省で覚えた両手の指の数にも満たない中国語と筆談を使って、家族を高級飯屋やお茶屋に案内したような。一人になってからは結局故宮博物館にすら行かずに東京に戻ってしまいました。当時は学生だったし、早く大学で勉強がしたいなって思って(笑)。
そんな、ほとんど出入国スタンプを押されただけの台湾だから、もう中国語だって話せない訳じゃないんだし、気合いを入れて見てやろう、聞いてやろう、と意気込んでみてもいいんですが、ずっぽり落ち着いてしまいました。
中正国際空港からエアポートバスで台北駅に到着。その流れで日本人が経営する「おおしろ」に投宿したら、はい終了。
ドミトリーはベッド単位で一泊400元。日本語の本や漫画があって、だべりスペースがあって、自由に使える冷蔵庫完備で、フリードリンクなんかも用意されてたり、近くにはお手軽な食べ物屋があって…、という典型的な沈没日本人宿。
もう先は見えました。
「一日一善」ならぬ「一日1イベント」こそ旅人のライフスタイル
朝起きて夜寝るまでに、ためていた洗濯物を洗ってしまえば、寒くなった懐を暖めるために両替屋に行けば、次の国に向かうためのビザを申請すれば、それで「充実した一日」と自己満足に浸れる日々。とうぜん観光地を訪ねることはありますが、「観光地のハシゴ」などはもってのほかです。
物事に取り組むときには、雑念にとらわれずにひとつのことを集中して丁寧にやり遂げようという気持ちが裏にある訳なので、単なる「怠け癖」とは違うと思って頂いても結構。だれも思わないでしょうけれども…。
そんな懐かしい気持ちを取り戻したわけなんで、今日のイベントは「宿にチェックインした」でもいいのですが、そこは見た目はのんびりしていても「用意周到にのんびり」していたいわたし。
懐かしい台湾で何をしようか
何をしていいかも分からないので本屋にガイドブックを買いに行くことにしました。
宿にも日本語のガイド本はあふれているんですが、「有名どころ」しか紹介していないんで、観光客のいないところでぼーっとすることに無上の喜びを感じるひねくれ者からみれば、ちと消化不良。あの中国本土でさえ、背包族(バックパッカー)向けの低予算マニアックガイド本があふれている訳だから、当然台湾版「ロンプラ」「歩き方」を探し出してやろうという目論見。
…でした。
が、台湾にわたし向けの旅行本は売っておりません。
旅行コーナーにあるのは、装丁から内容まで日本の「るるぶ」「まっぷる」をコピーしたような写真メーンの雑誌か、昨今は「民宿ブーム」らしくて観光地や避暑地にある「隠れ家的ペンション」を脱サラ(勝手な想像)したオーナーの顔写真付きで紹介した「台湾民宿100選」的なポケットサイズの本などなど。
われわれにとって一番大切な、各地域の安宿(だいたい2000円以下)を紹介した本がないんです。
台湾の若者は旅をしないのか。
ファッションや音楽みたいな流行は日本から時差なしに台湾に入ってきているわけだから、別に「旅ブーム」もまねしてもらっても一向に構わないんだけどなぁ。
失意のうちに街角を再び歩き始めたわたし。
ですが、台湾にだって捨てる神あれば拾う神あり。
この懐かしい台湾でまた懐かしい物を見つけてしまいました。
「BURGER KING」
すでに日本では「知る人ぞ知る」存在にまで墜ちてしまったかもしれませんが、一時は東京を中心に「静かなブーム」を巻き起こした感もある超本格的アメリカ風ジャンクフード「バーガーキング」の看板でした。
超肉厚なハンバーグ(パテ)は食べ応えたっぷりで、本当に「俺って牛肉食べてる」って気になれるし、タマネギやトマト、レタスなどの野菜類は最低でもモスバーガーくらいには挟み込まれている。
始めから皿に盛られ、ナイフとフォークを使って食べるようなレストラン式のハンバーガーに眼がないわたしにとっては、それを何とか手でもって食べられるくらいまで小型化した、バーキンの「WHOPPER(ワッパー)」はベスト・オブ・ベストのハンバーガーだったりする。
ここまでたかがファストフードの肩を持つにはちょっとしたわけがあります。美味列伝で紹介した味が子どもの頃から親しんだ「ソウルフード」だとすれば、このバーガーキングは長かった大学時代、海外旅行の時に食べまくったいわば「青春の味」。
カレーしかない国を旅していたとき、トウモロコシの粉やバナナを練った物が主食の国を抜けた後、普通のレストランの食事が1000円近くかかるようなバイキングたちの国で、バーキンにてバーガーをほおばり、コーラをちびちび飲みながらたまった日記を書いていたりした記憶。
大げさにいえば、マックしか知らなかった青二才に世界には別の選択肢があることを教えてくれたのがバーキン。ちなみに、窓嫌いが始まりもう一つのマックが好きになったのもこの時期でした(笑)。
長い旅が終わった後、それに合わせるように日本にもバーガーキングが上陸したときには小躍りしたものですが、結局その寿命は短く、わたしも高田馬場の「BIG BOX」で一度食べたきりでこちらも早9年の年月。
撤退の経緯は、「バーガーキング社の日本撤退の背景(http://www.sayko.co.jp/article/syogyo/insyoku/2001/2001-5-2.html)」、またはこちら(http://ja.wikipedia.org/wiki/バーガーキング)を読んで初めて「ああなるほどね」と知ったわけですが、だからこそ台湾での再会は思いがけずもよく生き延びていた、と感謝の気持ち。
大学のカフェテリアのように好きなハンバーガーを選んで金を払ってもらったカップに自由にソフトドリンクを入れる(おかわり自由)、というスタイルは初めてだったんですが、味はそのまま。決して「最高」という訳じゃないけれど、十分気持ちもお腹も一杯になれるまさに「キング」に相応しいあの味でした。
「台湾に来てお前何くっとんじゃ」と言うなかれ。
現在進行形の「ミックスド・カルチャー」を目の当たりにできるのも旅の醍醐味。巨大ハンバーガーをほおばりながら参考書をめくっている台湾人高校生たちの姿を見るのもなかなか新鮮で楽しいものですよ。
by itoyamamakoto
| 2005-08-01 22:32
| まちかど歩けば新発見