2005年 09月 05日
新米日本語教師をHELP |
久しぶりの成都だとばかり思っていたら、すでに今日で7日目。愛宿「交通飯店」にもすでに6泊もしてしまい、一人ひとりと訪れてはまた別の町へと去っていく旅人たちを見送り続けるだけ。まるで牢名主みたいな立場になってきたんで、ちょっと気分転換。
先々学期の四川大竜学生時代に知り合った日本人、塾長宅に転がり込んでしまいました。
この塾長。先学期までは一介の日本人留学生ながらもその篤い人望から人々の尊敬を集め「塾長」の尊称を得ていたのですが、なんと今学期からは本物の老師(先生)に昇格。西南民族大学で日本語を教えることになったのでした。
元々教師などをしてたのかというと日本時代は大手建築メーカーのセールスマン(敏腕)。日本語を教えるための特別な教育を受けたわけでもないのに、採用してしまうあたりが民族大の懐の深さか、いい加減さの現れか(笑)。
とにかく日本語をしゃべれるだけの素人が、外国人に日本語を教えるわけですから、塾長本人の緊張感はなかなかのもの。
ましてやまだ新学期(中国人)が始まって第2週目という事で慣れないことも多く、当然ながら授業の準備も大変。
わたしが塾長宅を訪れたのは、「日本語使いの手練手管」としてその手腕に期待され、準備の手助けをするという塾長側の要望に応じたものでもあったのでした。
塾長が持っているのは、一週間に合計4科目、それぞれ正味一時間半の授業。そのうち明日(水曜日)に3年生の「視聴」と4年生の「日本経済」の2科目が入っているので、もっとも準備に大変で、気持ち的にも焦るのがこの火曜日、特にもう授業まで待ったなしとなる夜以降らしいんです。
わたしがお願いされたのは「視聴」の方のお手伝い。「視聴」はそれこそ映像を見たり音声を聞いたりして日本語能力を鍛えるのが目的で、塾長が用意した教材は「千与千尋」。
日本語を学ぶ中国人向けに、声優さんたちが録音し直したいわゆる「音声だけ」のやりとりなんですが、学生にそれを聞いてリスニングを鍛えてもらいましょう、という趣旨。
で、実際には何をしたのか。
神隠し=子どもなどが急に行方不明になり、捜しても簡単には見つからなかったり、茫然自失の状態で発見されたとき、それを天狗や迷わし神など超自然的なものに隠された(誘拐された)と考えたもの。「ーにあう」
住めば都=どんなな所でも住み慣れればそこが最も住みよく思われるものだ。地獄も住み家。
シャンと(副)=1.姿勢を正してきちんとしている様。しゃっと。「ー立ちなさい」/2、内容や態度が整っていて曖昧なところのない様。ちゃんと。
こんな感じでせりふの中にある、「あっこれは学生が質問してきそう」なんて思う単語を事前に調べておく、というもの。上の三つの言葉、皆さんはどれだけそらで説明できますか?
上っ面だけしか見えない人は単なる「単語調べ」などと暴言を吐くかもしれませんが、中日文化の差異を理解した上であくまで中国人側にたった思考ができる日本人にしかできない、極めて高度な役回りなんです!
わたしが電子辞書をピコピコうちながらハイレベルな作業をしている間も、塾長はもう一つの「日本経済」の準備に大わらわ。「日中の物価の違い」についてお話するようで、ネットから落としてきた居酒屋やファストフードのメニュー表などをプレゼンテーション用ソフトの「パワーポイント」でまとめ上げる作業に追われていました。
ああ、気がつけばもう午前様。授業は朝の8時からなので、もうあがく時間すら大して残されてませんし、このへんが妥協の時。
「もう終わろうか。寝よう」
その一言によって一時だけの安らぎを得ることにしたわたしたち。
実はもうひとつ「難儀なこと」が待ってるんですが、そちらの方はもうぶっつけ本番にします。
by itoyamamakoto
| 2005-09-05 21:25
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