2005年 10月 13日
民族大の「深夜族」と |
「たぶんここの料金で彼にスパイク買ってあげれるよ」
豪華卞拉OK(カラオケ)庁の一室にて。すでに午前0時をすぎた深夜、塾長先生とこんな会話が交わされたこと。日中、数年ぶりにサッカーを楽しみ、「今度お金を貯めてスパイクを買うんだ!」とはしゃいでいた清貧学生イエンレンには届いたでしょうか。
あなたが日々の少ない予算の中から数元ずつを積みたてて手に入れようと心を決めたサッカースパイク。それが計数足買えるくらいの毛沢東主席が、音符と怪しげな歌声とともに消え去ろうとしております。まるでこの「合コン2次会」のような空間で。
…申し訳ない(ガクッ)。
一度目は国慶節前のごたごたで、
2度目は国慶節あけにわたしの周辺の人間だけが局地的に被った「体がだるい」「調子が悪い」などといった完治不能な集団系脱力病
つまりは単なる黄金週間ボケのおかげで、
うやむやになっていた「わたし的公約」(参考→http://itoyama.seesaa.net/article/7382632.html)の発表会。
ところが、
今日は特に何ごともなく過ぎ去っていくんだな
と見えない銃を下ろして武装解除を始めようかとしていた夜の9時半すぎ、隣でネットをしていた塾長の携帯電話に一通のメール。
「ねえ。生徒がカラオケ誘ってるんだけど、行かない?」
「行かない?」と言うせりふですがまったく「疑問」の要素はなく、「ねえ一緒に行ってよ」というお願いのニュアンスしか感じられない。
やはり男子たる者、四方八方に敵がいるわけで、布団にはいるまでは褌をゆるめてはいけないんだなと思ったもんでした。既に遅きに失してしまいましたが。
先ごろの練習宣言にてレベル1突破(「ネズミは米が好き」制覇)をしてから、あまりに時がたちすぎました。
2回も延期を経験した後だけあって、一時の緊張感は完全消滅。
何とかピンイン、声調、リズムをクリアーできた歌が5曲ほどまで増えたんですが、「また日取りが決まったときでいいだろう」と、最近は首に下げたiPod Shuffleの中にも「華流」ものは消滅しているのでした。
とにかくそんなときの不意打ちですから、乗り気になれるわけなし。でも重ねて塾長の「求めるような目」があるんで断り切れるわけもなし、という運びに。
ところでこんな時間に塾長を呼び出したのは教え子の一人の女の子。
「わたし的公約」を一緒になって考えていただいた例の「美人秘書」の片割れではありません。
冷静に考えると、
先生をこんな夜分カラオケに誘うとは学生としていかがなものか
不良学生ではないのか
日本の常識だったら眉をひそめる方も多いはずなのですが、ここは中国。冷静になって考えてはいけません。塾長先生も「教室では熱く語り、外では友だち感覚」を目指してますから、その教育方針が生徒にも浸透していると思えば、世話人としてもうれしいもの。
10時に待ち合わせ、彼女の友だちの女の子2人ともご対面。ともに英語科の学生でしたが、最後まで彼女らと英語を話すことはなし。時が経つにつれて四川語を耳にする回数はどんどん増えていくことになるのですが…。
タクシーに乗り込みました。
一体どこに連行されるのだろう
これまでカラオケといえば大学周辺、徒歩10分圏内だったので、移動に車を使うというだけでなんだか新しい世界に連れて行かれるようなドキドキ感。
実際は歩いても15分くらいで降りることになったのですが、その場所自体はこれまで見たことないくらいに豪華な「卞拉OK(カラオケ)庁」。
3星ホテル(中国国内基準)級のフロント。
50インチくらいの薄型大画面テレビ。
ウインドーズをOSに使ったタッチパネル式の選曲方式。
何よりビールは百威(バドワイザー)。
どうやらようやく分かってきました。
今回「同伴」いだいた彼女たち。
とてつもなく金持ちなんじゃないか、と。
皮肉(参考→http://itoyama.seesaa.net/article/4864175.html)で登場することはあっても、学生に戻ってからこのかた一度として口にしたことのなかった百威士をいきなり12本注文してしまいました。
12本も。まあダース単位がお得というのもあるんですが、ね。
さらに四川ブランド、パンダ印のたばこ「PRIDE」をくもらせ始めた彼女ら。
さいころゲームや手遊びゲームなどをしては遊び、負ければ干杯。すかさず手慣れた仕草でグラスにビールを注ぐ、ホステスさん。いえいえ学生さんたち。
煙には縁のないわたしと塾長は完全に「高級スナック」になぜか迷い込んじゃちゃった田舎出身の純朴なお客さん的様相。
塾長はといえば、一見すればかなりお遊びに熱中されているんですが、それは彼女らの気を惹いてわたしに気軽に歌の実践練習をしてもらおうという深謀遠慮があってのこそ。
こんな異世界に惑わされることなく歌い上げるしかありません。
とにかく、僕らの楽しい合い言葉、「ねっずみは、ねっずみは、米が好き♪」を歌い上げた後、
「孤独な北半球」
「心の中の日と月」
「童話」
「10年」
を試すことができたのでした。
やっぱり歌ってみないと分からないことも多し。漢字の字体が違えばそれだけで言葉に詰まるし、DVDとテンポが違うとそれにあわせる柔軟さもまだ身に付いていない。でも今後マイクを持てなくて困ることはなくなりそうですね。
ただ積極的に持つというわけでもないんで、そこは誤解しないでくださいね。
ところで、成都では珍しく日本語の曲も数百曲は見つかったこの高級卞拉OK(カラオケ)庁。
やっぱりイエンレン、ごめん。
ひとり80元でした。
その後、彼女らの行きつけシャオカオ屋に移動。
麻辣全開の串焼きが出てくるわ、出てくるわ。
知り合いの日本人全員に食べさせて全員に感想を聞きたいくらい、超四川風味でした。
ここまで不健康にスパイシーなものは「留学生行きつけの店ではまず出てこないだろう」みたいな味付けですね。
そして「締め」で出てきたのが、2本の串に刺された体長13センチくらいの魚の焼きもの。
「ちょっとこれ何て魚?」
「これはji4yu2でしょ。知らないの」
「ジユィ?」
「ユィ」は魚だけど「ジ」といったら…、何の漢字も思い浮かびません。お寿司屋で出される巨大湯のみにもそんな文字はなかったはず。てことは川魚か?
など一週間前と同じ風に思ったわけではありません。
見た目でもう一目瞭然。
そうでしょう。「フナ」でござんすよね。
中国語では「魚即(これで一文字)魚」だそうです。
ところでこのフナの焼きもの。
泥臭い。骨が多そう。「フナって食べれるの?」なんて疑問もお隣(塾長)から挙がるなか、川魚系にも目覚めつつあるわたしが試食役に。
単に焼いて香辛料をぶっかけただけじゃなく、はらわたを取り出して中にタマネギやセロリ、香菜などの香味野菜を入れているあたり少し食い手側を「にやり」とさせる小技が使ってあったりして、さらに味もなかなかでした。
店舗面積5坪ほどの暗い路地に面した小さなシャオカオ屋。
唯一の電化製品である14型ビデオからは懐かしの「プロジェクトA」が流れ、ジャッキー、ユンピョウ、サモハンキンポーがそろい踏み。
皿の上の串を一本一本と手に取り、食いつき、床に放り、超有名自転車アクションや時計台から落下するハイライトシーンを眺めていたら、いつの間に丑(うし)三つ時(2時半すぎ)。
いまだおしゃべりの尽きないメイニュウ3人組をしみじみ眺め、
やっぱりお前ら不良学生だろう!
と不良先生とともに思ったものです。
大学校内の職員用宿舎前についたのは午前3時前。
門限12時だから当然閉門。
昨日のボーリングに続いての狼藉。
わたしたちがまだ帰ってないのを知ってたわけではないんでしょうが、でもとにかく起きててくれた守衛さん。
「どうもすいませんでした」
「不好意思!対不起!」
門限すぎて柵を開けてもらうと手間賃を払わなけりゃいけないんだけど、それがたったの一元(約14円)だから逆に申し訳なかったりする。
だから、まるで新社会人を対象にしたマナー講座のテキストに出てくるような理想的お辞儀をしてしまったわたしと塾長。
中国人にここまで深く頭を下げたのは初体験。
その上半身は軽く90度はおり曲がっていましたとさ。
by itoyamamakoto
| 2005-10-13 20:33
| いろんな交流してます