2005年 11月 15日
難儀な事件のさばき方 |
貨物車内になんと女性5人の遺体
成都東駅
【11月15日=華西都市報】
昨日正午ごろ、人々をあっと驚かせるニュースが成都東駅のコンテナ集積場から瞬く間に広がっていった。作業員が、場内に停まっていた貨物車の最後尾一両にコンテナを積み込もうとしたとき、車内に女性の死体5体が横たわっているのを発見。女性はともに見たところ20−30歳くらい。鉄道警察はすぐさま現場で4時間に及ぶ検証を行った。このなぞに満ちた5人の死因について、市民からはさまざまな憶測が飛び交ったものの、警察は何の情報も明らかにしていない。
#貨車は昨夜未明に到着
昨日午後2時半、記者が成都東駅のコンテナ集積場に到着したとき、警察官数人が事細かに現場検証を行っていた。遺体が見つかったのは、成都東駅のコンテナ集積場内、ある線路上に停められていた貨物車の中から。車両番号は「4608205」だった。このときすでに見物人は100人を超えていた。
遺体が見つかった車両は6両編成の最後尾で、前5両にはすでにコンテナが積み込まれており、最後の一両だけが車内に「空き」が残る状態だった。現場で働く作業員によると、この貨車は昨日早朝にこの場所に入線してきたもので、午前中のうちに作業員によって貨車内の荷物を降ろす作業が行われた。「しかし、その時は誰もあの車内に死体を見なかったはずだ」と説明。正午になったころ、現場車両に荷物を積み込もうとしたとき、突然「中に人がいるぞ!」という叫び声が響き、駆けつけた誰もがまた驚いたという。車内の5人はすでに死亡、さらに5人は全員が女性だった。
#死者は壁にもたれ、またはうずくまり
現場を目撃した別の作業員は、「車内では、ある女性は壁にもたれかかり、ある者は腹ばいに、また別のものはうずくまって倒れていた」と振り返る。このほか、死者のうちの二人は鼻に血痕があったという。また、記者も「552571(1)」の貨物車両の正面にあったコンテナの扉左隅に、明らかな血痕を確認した。
#詳細には口をつぐむ警察
午後4時ごろ、現場検証を行っていた警察がコンテナ内の写真撮影を終えると貨車の扉が開かれ、今度は青色の作業服を着た法医学の専門家が足を踏み入れた。
このコンテナ車両はいったいどこから東駅コンテナ集配場にやって来たのか?現場の作業員は「知らない」と声をそろえ、鉄道局の制服を着たコンテナ集配事務所の職員も「資料はすべて警察が持っていった」と説明するのみ。
午後5時50分、現場検証は終了。このとき葬儀場の車も現場に到着。5人の遺体は白い布に包まれ、車内に運び込まれた。
記者は何度も警察および東駅の作業員らに状況を聞こうとしたものの、ともに取材を拒否。まもなくして、集配場内の車両が動き出し、傍らにあったコンテナも現場となった車両に積み込まれはじめた。数分後、牽引車両が現れ、貨車6両をすべて引っ張っていってしまった。
☆死亡原因侃々諤々
#憶測その1:コンテナによる圧死
現場では、警察は何の情報も明らかにしなかったものの、見守った市民からはさまざまな憶測が飛び交った。そしてそれはあっという間に、紙に印刷され、市内に広まりはじめるほどだった。
匿名希望のある作業員によれば、彼は現場の状況を事細かに目撃。彼の推測はこのようなものだ。彼女ら5人は貨物の上から何か物を拾い上げ持ち去ろうとしていたが、何かの拍子で車両が動き、コンテナが滑り落ちたため、彼女らははさまれてしまった。死者の顔色などから、その死亡時刻は少なくても6時間以上前。取材中、周りの作業員たちの多くも彼の話に賛成していた。
ここで働く別の作業員は別の「見立て」を披露。女性5人は、現場から積載物を盗ろうとして誰かに発見された。そして逃走中、コンテナと貨車の隙間に隠れたものの、結果として、貨車が動いたためにコンテナが動き、はさまれてしまったのだという。
#憶測その2:他殺後に遺棄される
一番最初に貨車の上に上ったと主張する男性いわく、彼が遺体を見つけたたのは12時半ごろ。警察が現場に到着する前から同僚と一緒に貨車に登り、内部の状況を観察した。「女性の数人は30歳前後。ちゃんと衣服は着ていたけれど、数人の顔色はすでに変色しかかっていた」と説明。彼によれば、貨車内のコンテナは一般的に動くようなものではなく、たとえそれが動いて人を圧死させたとしても、それならもっと損傷がひどいはずだという理由から、女性の数人は決してコンテナによる圧死ではない、という。こうした考えに賛同する人の中には、彼女らは何者かに殺害されたあとこの場所に捨てられ、よってこれほど猟奇的な事件に仕立て上げられてしまったとみている。
いったいこの5人の女性はいつ、どのような死を遂げたのだろうか?これまでに警察機関は更なる捜査を進めている。
【評】
なぞがなぞを呼ぶ事件。
日本だったら、警察が「殺人事件」との見方を強めた段階で「しょかつ(地元署)」に捜査本部が立ち上がり、室井管理官が登場する、というのが「踊る大走査線」を見て学んだわたしの認識。
ところが現場検証はしたものの、警察、その後大きな動きを見せず。またマスコミへの情報提供もほぼゼロ。
テレビなんかを見ていると、がさ入れに同行させたり、留置所内で容疑者にインタビューさせたりと、かなりマスコミに「協力的」な警察像からはかなりかけ離れた態度。バリバリの成都市内で発生した事件なんで、マスコミ慣れしていない田舎の警察だからというわけでもありません。
大体こういう場合、すでに事件の大筋が見えていてマスコミの「手助け」を借りなくてもいいからか、本当に何もわからないからせめてネタ袋を少しは豊かにするまで何も話せない、のどちらか。
だからこそ各社の「取材力」が問われるわけで、その結果が如実に紙面に現れるから、一部マニアにはたまらない展開が見られることに。
そんなわけで成都の場合だと、たぶん発行部数で上位を争っている「華西都市報」と「成都商報」を読み比べてみました。
コンテナに女性5人の遺体→華西都市報
コンテナ内から死者5人 →成都商報
ほう。
さて見出しから違ってます。
で本文を読めば、成都商報では「すべては女性」といいつつ「女性4人、男性1人という人もいる」となってますね。断定できませんでした。裏が取れなかったわけです。
どちらの勝ちなのか。もしかしたら「保険」をかけておいた成都商報が救われるかもしれません。
たぶんそんなことないんでしょうが、ね。
さて華西都市報にしたって首を傾げたくなるようなところはあります。
やっぱり野次馬連中の見立てをそのまま「垂れ流し」ってのはあまりに無責任すぎません?一応は警察官に当ててみて、感触を確かめといたほうがいいのではないでしょうか。
そりゃあることないこと言いますよ。野次馬ですから。
だって伝聞が伝聞され、憶測がいつの間にか真実っぽく聞こえてしまうようになるのが人の性。
ましてや「いいかげんさ」では中国トップクラスの四川人です。
もちろん、このことは新聞書くほうにも当てはまります。
北京の新京報なんかの新聞には社説なんかがある2ページ目に「おわび&訂正」みたいな記事が毎日載ってます。
毎日必ず4、5ヶ所くらいの間違いがあって、「よくこんなにあるな」と関心しきり。上司にどやされる記者の姿なんかもわがことのように目に浮かびます。
ところが、その点四川の新聞社はどこも優秀。もうかれこれ2ヶ月半以上たちましたが、一度として訂正記事なんてものを見たことがありません。
どうです。
すごいでしょう。
このやりっぱなしの書きっぱなし、が。
もしかしたら内部には強烈な査定なんてものがあるのかもしれませんが、やはり記者にとって自分の名前で訂正を紙面にのせることが一番ダメージ大きいはず。
そのプレッシャーから免除されるんだったら、責任感から開放され、何でもありありになっちゃいます。よほど強靭な自制心を持つ人でない限り。
ところで5人の遺体。いくら現場検証も終わり、法医学の専門家も目を通したからといって、霊柩車で運ばれて行ったってのはすごいですね。
もう少し取っとこうよ
と思ってしまうのはわたしだけでしょうか。手際よすぎ。
やっぱたいした事件じゃないのかもね。
続報に期待。そして使者の性別について、どちらかの新聞社がどう事実関係をごまかすのかにも期待。★★☆☆☆
by itoyamamakoto
| 2005-11-15 17:45
| これは面白ニュース!?