2006年 09月 05日
よたよたながらも発進 |
「いいですか、みなさん。日本には『5分前行動』というものがあります」
(「ほう、それは本当か?」と首かしげるわたし)
「集合は5分前に。だから出発も5分前、だから起きるのも5分前。時間に正確な日本人には当たり前のことです。次からは10時ぴったりに授業を始めます。遅れても待ちませんから注意してください」
そんなお小言から始まってしまいました。
日本人の日本人によるインド人のための「打倒2級!めざせ全員合格!日本語能力試験超インテンシブコース」(略称:日本語授業)。
日本人3人組が教師役にふんする聴解、読解の授業は火曜日と木曜日で、本日がその火曜日しょっぱな一回目。
ところが授業開始予定の午後10時、
われらがCHANDRA BHAGA HOSTELの食堂に集まった生徒は定数の半数以下。後輩の模範になるべきスレンドラ先生も肩で風きり、堂々の大名出勤。
「10時になってるけど、始める?」
とわたし。
「いや、ちょっと待ちましょう。その後びしっと言いますから」
と筆頭教師のYoちゃん。予定時間を10分くらい過ぎた頃、ようやくほぼすべてのメンツが出そろい、冒頭のような口頭注意が行われたのでした。
たった10分遅れたくらい、インド人にしたら「時間どおりにやってきた」という誤差の範囲内なんだろうけど、語学の学習は文化理解も重要な要素だからね。
◎参考写真:で、実際に授業がスタート。
とりあえず先週行った模試を振り返ってもらいましょう。
このテストですでに合格ラインの6割に達してたのは21人中3人。平均点も5割(200点)にはなんとか到達してたので、あながち全員合格も雲をつかむ話じゃなし。
ただし、際立ったのは本日のお題でもある聴解の正解率の低さ。
平均38、8%という目をそむけたくなるような現実。
でもそれじゃぁダメ、ダメ。
苦手な者に目をつぶり続けたあげく、某中国語高等試験で「級なし」をとってしまった身近な例があるではないか(苦笑)。
聴解は提示されたイラストや表を参考にしながら問題に答えるパターンと、完全に会話だけを聞きながら答えを選ぶパターンの計32問。
果たしてどちらが難しかったのか、尋ねてみると、ほぼ半数ずつ。
「絵の問題はテストの一番最初だったから日本語にまだなれてなかった」
「絵を見るのと問題の文を聞く両方の作業があるから難しい」
ほとんどは先週のテストで初めて能力試験の問題に挑戦してみた人たちに多かった意見。
これは実際の試験開始時、問題をどう解けばいいのかを説明する練習問題が垂れ流される数分間を有効に使えばクリアできる話。
説明を完全に無視して実際の問題の絵をチェック、イラスト内の相違点や数字の並び方などを参考にどういう観点から質問が出されるのか、予想した上で本文を聞き始めれば、問題を解くヒントになるってわけ。
そんな「テストずれ(慣れ)」した「点数第一主義」みたいなやり方、日本語能力養成という教育の本筋からは大きく外れておりますが、ここは「打倒2級!全員合格!」な超現実主義派なコース。そんなテクニックもさけては通れぬ道でしょう。
と、教師陣のやる気がうまく歯車ったのはこの辺まで。
時間は守ることにゃうるさいけれど、授業の内容自体はかなりあたってくだけろ、で臨んだつけはすぐにカウンターパンチをくらっちゃうってパターン。
先週の模試の問題を改めて最初から一問ずつ解きながら、気がついた点んいついて解説を加えていったんだけど、たった5問ほどを説明し終わったところで予定時間の11時を軽くオーバー。
こりゃヤバいな、こんなんじゃ効率悪すぎでしょう。
いろいろ考えてみると、こちら側の課題も見えてくる。
今日のように同じ問題を2度解くことにどれくらいの効果があるのか。
復習だったら生徒全員にヒアリングに使われた原文を配って家に帰ってしてもらえばいい話。
聞き取れなかった、知らなかった単語の量なんて個人差があるわけだし、現場でそれをカバーするのは無理。
だから実践に即したかたちでなるべく多くの問題をこなし、問題のパターンを知ってもらうこと、問題文の中から回答にたどり着くために必要な単語をピックアップする能力を磨く方が10〜20ポイントくらいの得点アップには近道なはず。
もちろんある程度の基礎力があるってのが条件なんだけど、本日の感触で、それはみんな持ち合わせてるみたいだし…
授業の終わりに
どうやら本日はインド版「先生の日」(中国だと教師節は9月10日)らしく、20人の学生たちから
「Happy Teacher's Day !」
とねぎらいのお言葉。
ちょっぴり照れながら教室を後にした3人なのでした。
by itoyamamakoto
| 2006-09-05 17:11
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