2006年 04月 19日
転職相談応じるはずが |
ある若き中国人女性が人生の岐路で悩んでいる。
「仕事で困っている」
「働けば働くほど嫌いになってしまう」
「(仕事を)変えることを考えている」
そんなメールをもらったのが数日前。
「いったいどうしたの?仕事の時間が空いたら成都で会いましょう」
と返信してたんだけど、携帯が鳴ったのが夕方。久しぶりに声を聞いたからかもしれないけど、元気なさそうにも聞こえる。しかも「食欲がないから話は喫茶店で」だって。
あんなに食い物(辛いもの)好きな人が食欲もないなんてよほどのことか
と出かけてみたんだけど、まあよく考えてみたら、そんな切迫した話をチベットから下りてきたばかりのしかも日本人に相談するはずもなし。
会ってみればいつもと変わらぬ元気そうなお姿。飯を食わないのも「最近太ったから」とすごく普通な理由でございました。
さらには、彼女にとってすでに結論が出ているお話のようで。
ただ、それを聞いてあげること自体が重要なのは日本も中国も同じなんだろうか。
まずはひとしきり会社の現状の説明から。
「今の仕事はパソコンに向かっているだけ。出張はあるんだけど、そこも会議、会議ばかり」
「それでも功績を挙げてるのはわたしたち毎年更新の短期契約社員ばかりなのに、待遇のいい長期契約(≒終身雇用)社員の手柄にしかならない」
「わたしの上司は他のセクションと競合してでも部下の待遇アップを後押ししてくれるようなやる気がない。これじゃいつまでたっても同じ職場で同じ仕事をするしかない」
これははっきり言ってグチですな。
日本で働いたとき、こんなグチを話すような女性のいない職場だったもんで、これもまた貴重な経験。グチおよび会社の悪口を切り口にした「キャリアOL日中比較論」ができないのがちと残念なところ。
そろそろいいかな、と話を前進させることに。
「じゃあ、今度はどんなところで働きたいの?」
「女性に関係する職場。例えば化粧品とか衣料関係とか雑誌とか…」
北京にいたころには実際、このお国ではかなり有名なファッション誌を出してる某有名雑誌社で採用寸前までいった方だけにまあ「高望み」とはいえない真っ当なところかな。
実際すでに数社にアプローチを始めたそうなんだけど、それこそ先日の「西武成都」に入店してそうな外企(外資系)の名前が(笑)…。
「でも入社試験がある会社はちょっと難しいかな」
「えっ。勉強は得意でしょ。なんで?」
「だった私は文科(日本語科出身)だから、経済とか数学の問題が出ても」
それを勉強するのが受験生だろう、と思っちゃっうんだけど、こちら(彼女だけ?)の風習ではSバンクだろうがS生堂だろうが、入社試験でそうした問題が出されたときは、
「わたし数学は分かりません。専門ではありませんから」
と宣言。その部分は白紙のままで堂々と試験場を去ってしまったみたい。それでいて次の面接にはちゃっかり進めちゃったわけだから、そんなお方に何の助言がありましょうか。
さらには
「たとえ社員の募集をしていなくても、興味のある会社が見つかったら会社側から連絡があるまで履歴書を送り続ける」
だって。
そんな食いついたら離れないスッポンのようなお方に「あきらめるな」とか「ねばりで」とか、安っぽい言葉かけられない。
まるでこっちが就職の心得を聞かされてるような感覚。もしここがオシャレなジャズの生演奏流れる喫茶店ではなく、畳敷きの茶室だったら
足を組み直して「正座」で聞かせてもらうところ。
「お見それいたしました」と、ね。
とにかく、何も反論というか忠告はできませんでした。まあ、本人も何度も職を変えるのがいいことばかりじゃないということは感じているみたいで、
「とにかく最高の一社が見つかるまでじっくり捜しますよ」
だって。
わたしが中国にいる間に就職祝いを開くのは難しいかもしれないけど、間違いなく能力の高い人なので、「やりがいのある職場」ではたらく充実感を感じてほしいかな、と思いました。
まあ、わたしは高地に戻ったとき、チベットの仏さんたちの前で願でも懸けることにしましょうかね
追伸:中国語の試験が間近に迫った現状ですが、会話は全て日本語でした(笑)。
by itoyamamakoto
| 2006-04-19 20:32
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