2006年 02月 13日
完全休用、無駄に一日 |
#節操なしの旅日記24
Dharamsala-
>体調の方は相変わらず狂おしいくらいに万全ながらも、
>このままでは心が乾いてしまいそう。
などと「かっちょいい」ことをぬかしてたのが数日前。ところが2日も連続して(酒の力で)心を潤してしまったところ、身体のほうに異変が発生してしまうから不思議なもの。
よし。
きょうも朝飯食ったらチベット図書館、午後からはチベット芸術センター(TIPA)でもひやかして、夜行のデリー行きバスに備えるかね。
と午前7時。
ベッドから起きあがろうとするけど、身体がすぐには反応しない。
そういや関節もちょっと痛くないかい?
意識ははっきりなんだけど油断すればすぐぼ〜ぉっとなっちゃうし
おそるおそる伝化の宝刀「電子体温計」を引きだすことに。
大体これを持ち出すときって「時すでに遅し」。
この「十数年来の旅の友」なんだけど、登場回数こそかなり少ないながら、過去に「42.3℃」まで刻みだした事のある、彼ら側から言わせると、なかなか体温計冥利に尽きる人生をおくってきている。それはパートナーとしてもうれしい限り。
まあ、とにかく、現状把握がない限りは緊急対策会議も召集されないわけで、さっそくわきの下に差し込んでみることに。
「ぴぴぴぃっ、ぴぴぴぃ」
はい。
37.8度。
今のところ状況は赤みがかった黄信号なんだけど、旅の予定を狂わせかねない危機感より、熱によるつらさとかよりり、まったくもって原因不明な事の方がぜんぜん気になったりする。
昨日のシャワーか?
そういや温水なんてないから、高原から湧きだす超冷水をあびたのがいけなかったんだろうか。水流しながら髪洗ってると、かき氷を超速で食ってるときとは反対、頭を外側からぎゅうぅぅっと締め付けられる感触。さすがに我慢できなくて休憩入れちゃったもんなぁ。
高山病か?
ここはダラムサラは高地といっても標高1800m程度。そんなんで高山病って症状をあらわすものなん?それにここに来てもう3日目よ。普通は初日の夜ぐらいからでしょう、熱が出たりするのって。だいたいまだ20日もたたないころには4000m近いところをうろついてたわけじゃない。
て、ことはやはり、今回も…
仏像激写の後に訪れる天罰シリーズかも。
そんな事言っても、ツクラカン(中央寺院)の観音菩薩はなかなかゴージャスだってんで…
◎参考写真:なかなか良い表情してるっしょ。撮らない方がおかしい
とにかく午前中は宿部屋待機やむなし
安静にして汗を出して熱を下げよう
の断を下したのはいいけど、発熱折れ線グラフはどうやら始まったばかりだったよう。体温計を脇に挟んだり口に含んだりしていくうちに、だんだん
「ぴぴぴぃっ、ぴぴぴぃ」
が鳴るまでの時間が長くなり、はてはわたし的赤信号(=自己回復力以外の助けを借りる)の基準となる39度が目前にまで迫ってくる始末。
時刻は午前11時半を過ぎました。
とりあえず正午のチェックアウトは無理だから、延泊手続きを取りに行くか。回復したら夜行バスに乗ればいいさ。宿代は70Rs(約200円)だからたいして惜しくはない
と、指先や足先まできちんと己の意識が届いてるとは思えないような、体のあちこちを動かすたびにいちいちぎこちなさを感じる、まどろっこしくも要するにだるい思いをしながら、とにかくレセプションへ。
「体調悪いから、午後からも部屋使わせてね」
と、若干心配の態度を見せてくれないかなあ、体にやさしい食べ物や薬なんかの手配をしてくれるかな、とと思ってのコメントだったのに、若いチベタン青年は、
「宿代は全額払ってもらうがいいか」
だって。
それだけ。
でも捨てる神あれば拾う神。
「どうかしたの?」
と久しぶりの日本語&ふりむけば若干チベタンに見えなくもないけど、服装などから完全に日本人女性。
シーズンオフのダラムサラ。まったくいないと思ってた日本人だけど、実は同じ宿に泊まってたのでした。しかももう一ヶ月近くということ。
「いやぁ、かくかくしかじか、こういうわけで…」
「じゃあ、薬あげよっか。熱だったらこれがいいよ。薬局では買えない強力なやつだから」
いにしえの昔から長旅する日本人といえば「男は自動車組立期間工、女は看護婦」と相場が決まってて、話振りから彼女もおそらくナース風情。
拝むようにして二粒いただいた白い錠剤。
「効き目強いから飲むのは一粒ずつ、何かを食べた後にね」
とは心強い。
「別に無理して今日かえんない方がいいんじゃ…。あっ、夜ご飯に『肉じゃが』作ってあげよっか。わたしの部屋キッチン付きなんだよね」
と泣かせるようなせりふまでてくださるわけだけど、この段階になって気になり始めた彼女の「ため口orお姉さん口調」。日ごろは年齢の割に貫禄出過ぎのわたしだけど、それほどオーラを失っていたんだろうか。
とにかくチャイを頼んで薬を一呑み。
真の意味での緊急時に備えるため、日ごろまったく薬から身を遠ざけているわたしだから、彼女からブツをいただいたこの時点で勝ったも同然。薬の効き方が常人とはけた違うのよ。
部屋に戻って再びベッドに横になって数時間。果たして今度は、
「ぴぴぴぃっ、ぴぴぴぃ」
が徐々に早くなっていく快感。
午前4時ごろには37度近くまで落ち着いてくるにいたって荷造りを開始。薬が切れたのか、また曲線は上り調子なってきたものの、部屋を訪ねてきた彼女にも
「やっぱ先が込んでるんで、きょう出ます」
と最後まで敬語でお別れ。
伝化の宝刀があと一粒のこってるから大丈夫なのさ。
と言い聞かせて宿を出るも、判断能力は平常の半分くらいだったのか。バス乗り場を間違え、
「インドだから遅れてんだろう」
と30分待った挙句に放置された事に気づく始末。もちろん宿に帰るような恥ずかしい事もできずに何とか見つかった後発のバスに乗ることに。400Rsの出費だけど、とにかく今日ダラムサラから移動できたからいいっか。
バス代も薬買ったと思えば…。
でも肉じゃがはちょっと惜しいことしたかな。
Dharamsala - Delhi 400Rs
by itoyamamakoto
| 2006-02-13 13:40
| またまた旅に出ました